暦の上では・・・
めっきり寒くなって参りました。
昨日は富士山が初冠雪ということで、この仕事場からも上の方が白くなった富士山を見ることができました。
私は先週風邪をひいてしまいましたが、あれからほぼ1週間、ようやく体調も良くなって参りました。みなさんはお風邪など召されておりませんでしょうか。
季節の変わり目はとかく体調を崩しやすいですが、日本は四季のはっきりしている国ですから、年4回季節の変わり目を迎えなければならず、それだけ体調を崩す機会が多ございますので油断は禁物です。充分お気をつけ下さい。
さて、相変わらず「オレオレ詐欺」が横行しているようです。まったくけしからんです。
犯行も次第に巧妙になってきており、警官役や弁護士役などが登場し、かなり大仕掛けな舞台に構成されているようです。
このまま行くと次は効果音が入ったり回想シーンが挿入されたりして、ますます犯人たちの芝居に引き込まれて行き、中には次回作を楽しみにしてしまうお年寄りなどが現れてしまうのではないかと心配しております。
まあ向こうがそういう手を使って来るなら、こちらもさらに上を行く防衛策を取らなければならないでしょう。
まず自分を指す一人称に「オレ」とか「わたし」とかのありきたりのものを使うのはやめましょう。それは暗証番号に生年月日や電話番号を使うのと同じくらい危険なことです。普段から、容易に他人には分からない特殊な一人称を使うように心がけましょう。
たとえば「拙者」なんてのはどうでしょう。
これならたとえあなたがその一人称を使っていることを、犯人たちが突き止めたとしても、ちょっとすぐに舞台にかけることはできないでしょう。
たとえば普通なら「オレ、オレだけど・・・車で事故起こしちゃって・・・・それで示談金を振り込んで欲しいんだけど・・・」となりますが、このケースでは、「拙者だが・・・いやなに、火急の用にて往来を急ぎ歩いていた折人とぶつかり怪我をさせてしまった。出会い頭のことゆえ許せと申したがこれが相手が悪い。眼光鋭く頬に傷ある男。いずれ脛に傷ある輩であろうと見受けたが、後に禍根を残してはと思い示談と相成った。しからば金子百両を急ぎ届けて欲しいのじゃ」となります。配役も岡引や奉行所の旦那などとなり、衣装にカツラなども必要になってしまいます。もしかしたら背景のカキワリといったものも用意しなければならないかもしれません。犯人グループも生半可には手が出せないでしょう。
しかし悪いことをするやつは、さらにいろいろなことを考えるものです。
最近では「オレオレ」とは言わず、「本人は泣いていて電話口に出られない」という手口が多いようです。たとえ「本人」が電話口に出ても泣きじゃくるだけで、また話したとしても小さな声なのでよく分からないようです。さらにそれと同時進行で、本当の本人(?)の携帯電話に電話をかけ続け、連絡が取れないようにするという手の込みようだということです。
これに対抗するには、普段から特殊な泣き方をするように練習しておくことが有効かと思います。
たとえば「ぽろっぽー」とかはどうでしょう。
これならたとえその泣き方を犯人たちが突き止めたとしても、ばかばかしくて犯行を思い留まるかもしれません。
「あなた本当にマミなの?」
「ぽ、ぽ、ぽ、ぽろっぽっぽっぽ、ぽろっぽー」
「あ~、本当にマミなのね。心配しなくていいわ、すぐにお金振り込むからね」
という具合に・・・
あー、まんまと振り込んじゃいましたね。いかんいかん。
みなさんも普段からいろいろ個性豊かな技を研究して、決して人にマネをされないような完成度の高い芸を身に付け、大切な生命、財産をお守り下さい。
*このメルマガの後半へ続く
〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。
*このメルマガの前半からの続きです。
昔から詐欺や詐欺まがいのものはたくさんありました。
私のおじいさんは「夜間飛行」が見られるという触れ込みで入った見世物小屋で、紐に吊るされたヤカンが頭上を飛んで行くというのを見たそうです。
まあこれなんかはシャレの範疇かもしれませんし、木戸銭だってそれほど高くはなかったでしょうから、まだかわいいものです。
私は小学校3年の時、友だちに「これはアメリカンスクールのボールペンなんだぞ」と、とても変わった形の銀色の金属製ボールペンを見せられました。
当時はすでに戦後20年以上が経っていて海外旅行も自由化されていましたが、まだ1ドルが360円した時代です。なんでそいつがアメリカンスクールのボールペンを持っていたのか分かりませんでしたが、そいつにはアニキがいたのでなんとなく納得してしまいました。なぜかその頃の私は、アニキというのは何でも手に入れて来るものだという印象を持っていたのです。
それは今まで見たこともない形をしていて、胴体が普通のボールペンより細く、先の方はさらに細くなっているというものでした。なるほどアメリカンスクールのボールペンらしく胴体にはなにやら英語の文字が書いてありました。私はその時「アメリカの子どもはエンピツではなくてボールペンで勉強している」そして「そのボールペンはとてもカッコイイ」ということを初めて知ったのです。こりゃ戦争にも負けるわけです。
私はどうしてもそのボールペンが欲しくなり、そいつを拝み倒しました。そいつも最初は渋っていましたが、私の熱意に負けてその貴重なボールペンを私にくれたのです。
ようやくもらったアメリカンスクールのボールペンは、ツルツルの銀のボディーに少し消えかかったアルファベットの文字が浮かび、慣れないとうまく字が書けないくらいのスリムなスタイルが逆にカッコよく、先の細い部分が少し曲がってはいましたが、それでも嬉しくて他の友だちに自慢しまくりました。
家に帰ってからも家族に「これ、アメリカンスクールのボールペンなんだぞ」と言いながら見せびらかし、父親も「ふ~ん、アメリカじゃこんなのを使っているのか」としきりに感心し、その時我が家もようやくアメリカの進んだ文明に直に接する機会が訪れたといった感じでした。
しかし所詮子どもは飽きるのも早く、やがてアメリカンスクールのボールペンは机の引き出しの隅に追いやられ、次第に忘れ去られて行ったのです。
そしてすっかりそんなことを忘れ去っていた高校生の時、私はまたアメリカンスクールのボールペンと再会したのです。
それは意外なところでの再会でした。
ある日クラスの友だちがアメリカンスクールのボールペンを持っていたのです。
あれから月日は流れ、1ドルは240円くらいにまでなっていましたが、それでもまだまだ高校生が海外旅行に行く時代ではありませんでした。それなのになぜこいつはアメリカンスクールのボールペンを持っているのでしょうか?可能性があるとすれば、米軍基地のアメリカンスクールくらいでしょうか。
私は驚いて「それ、どうしたんだ?」と、半ば詰問口調で尋ねました。
するとそいつは怪訝な顔をして、
「えっ、こんなの普通に売ってるよ」
と言いながら、そのアメリカンスクールのボールペンを万年筆のようなプラスチックの本体に挿入し、慣れた手つきでくるくるっとキャップをしてしまいました。
なんと、私がアメリカンスクールのボールペンだと思い続けていたのは、単なるボールペンのカートリッジだったのですね。なるほどそのままじゃ書きづらいわけです。
それを私は高校生になるまで、ずーとずーと「アメリカンスクールのボールペン」だと思い続けていたというわけです。
いくらタダでもらったとはいえ、これだけ永い期間騙し続けるなんて、これはやはり立派な「詐欺!」ではないでしょうか?
なにしろ私はあのボールペンカートリッジと出会って以来、チャーリーブラウンもジミー・オズモンドも、南沙織もキャロライン洋子も、みーんなみんなあのボールペンを使って勉強してると思っちゃっただろ、ばかやろー。
そんなわけで私は今でも、モンブランやパーカーのボールペンの中身を見ると、
「あっ、アメリカンスクールのボールペンだ」
と、思うのであります。
あー、どうせなら一生騙されていたかった・・・シンシアァ~
詐欺、かたり、偽装表示に学歴詐称、とかく本物が分かりづらい世の中です。
どうぞみなさんも充分ご注意をされ、騙されないようになさって下さい。
そして不幸にも騙されてしまった場合は、なるべく騙されたことに気付かないよ
うにして、プライドだけはお守り下さい。
それでは、また来週!