10万ルピーという驚くべき低価格設定で注目を浴びたインド・タタ自動車の小型乗用車ナノですが、諸般の事情から発売が延び延びになっております。
でも今回は自動車のお話ではなく数字の単位、日本で言う「万」とか「億」ですね、難しい言い方で「命数法」というらしいのですが、とにかくインドで使われているそういう単位のお話です。
まず前回の話題で、インド版「クイズ$ミリオネア」の題名が「Kaun Banega Crorepati」とご紹介致しましたが、その中の「Crorepati」が「ミリオネア」に当たり、まあ日本で言うところの「億万長者」という意味なわけです。
では、インドの「億万長者」というのは数字で言うとどのくらいなのか?と申しますれば、この「Crorepati」の「Crore(カロール)」が「一千万」という単位でありまして、つまりインドでは「一千万(ルピー)長者」となるのであります。
*そのクイズ番組「Kaun Banega Crorepati」での最高賞金額は2千万ルピーです。
で、ここからようやく今回のお話しの本題に入るのですが、いくつかあるインドの数字の単位で、「十万」を表す「Lakh(ラーク)」というのと、前出の「Crore(カロール)」などが、インドではよく英語の中に混ぜられて使われるのであります。
たとえば低価格車ナノは「ワン・ラーク・カー」なんて呼ばれたりしますし、普通の庶民でも「今度妹が結婚するんだけど、ダウリ(持参金)にワン・ラークとスクーターを差し出さなきゃならないんだ・・・」とか、そんな風に使うのであります。
だもんですから、英語をしっかり勉強して来なかった私などは、この「Lakh(ラーク)」をすっかり英語だと思い込んでしまったのです。まあ私だって現代の英語にそういう単位が出てこないのは知っていましたが、おそらくかつてイギリスで使われていた単位が、元植民地であったインドで今なお使われているのだろうと、そんな深い理由まで勝手につけて思い込んでいたわけですよ。
そうなりゃ「Lakh(ラーク)」は今や英語の古語となり、そいつを知ってれば「おっ、この日本人なかなかやるじゃありませんか」と英国紳士から一目置かれるであろうと思い、さっそくイギリス人をつかまえて使ってみましたね、「インド行の航空券はだいたいワン・ラーク円だよ」ってね。
そしたらさあ、
さすがの英国紳士もきょとんとした顔で、「何?それ?」って聞いて来ましたよ。そりゃそうだ。
すっかり赤っ恥をかきましたね、あたし。
とまあ、そんな恐ろしい落とし穴がインド英語にはあるわけですが、でもインドに行くならそれ(インド式命数法)を知らないと、時々話がわからなくなることもあろうかと思いますので、せめて「Lakh(ラーク)」くらいは覚えておきましょうと、そういうことなのであります。
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