インドでは牛がとても大切にされているのはよく知られていることです。
これはインドの人口の大半を占めるヒンドゥー教の教えによるもので、牛はシヴァ神の乗り物とされていることから来ています。神話を題材にした絵にも「聖牛ナンディ」として白いコブ牛が描かれています。
ということで「神聖なる牛」はすなわち「コブ牛」ということになると思うのですね。
でもインドにはコブ牛ではない「水牛」なんてのもたくさんいるわけですよ。
私は常日頃から「この水牛というものはインドでどのような立場にあるのだろうか。もしかしたらかなりしいたげられた境遇におかれているのではなかろうか。場合によってはコブ牛を大切にする反動から酷い迫害を受けているのではないだろうか」などと心配していたのです。
しかしヴァラナシのガンジス河畔を散歩している時に、こんな光景に出くわしました。
なんとまあ、おっさんが水牛を洗っているではありませんか。そもそも水牛は「水牛」というくらいで水に入るのが好きですから、なにもわざわざ洗わなくてもよさそうなものだと思うのですが、このおっさんは何頭もいる水牛の体を順番に洗ってあげていました。
見れば水牛も心なしか気持ちよさそうな表情を浮かべているようにも見えますが、実際は体を洗われるのが嫌なようで、ゆっくり移動して行こうとするのを、おっさんがその動きに合わせながらせっせと洗っているのでありました。まあ水牛としては有難迷惑なのかもしれませんが、一応飼い主は水牛のことを大切に扱っているんだなあということがわかり、私はちょっとホッとしたのでありました。
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