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第63回:カッチ・ツアー / ラック・アート

         
  • 公開日:2014年6月2日
  • 最終更新日:2022年6月20日
〔当時のメモより〕
*金額に関しては当時の1ルピー(Rs.と略す)のレートを約1.7円とお考え下さい。

2013年11月21日(木)ブジ 晴

最後にラックを使った工房を訪れた。

ラックはそのまま使うのではなく、木に塗った上で圧力を掛け、模様をゆがめる。

〔以下メモに解説を加えて〕

2013年11月21日(木)ブジ 晴

最後にラックを使った工房を訪れた。

「ラック」とはカイガラムシから採れる樹枝状の物質のこと。
カイガラムシというとその体内色素を利用した染料が有名であるが、その仲間にラックカイガラムシというものがいて、そいつは樹脂状の物質を分泌するのである。ラックカイガラムシが分泌する物質は、熱を加えると柔らかくなるので加工が容易で、しかも固まるとある一定の強度を保つので、インドではバングル(腕輪)などの材料としてよく使われている。ラックはそのまま使うのではなく、木に塗った上で圧力を掛け、模様をゆがめる。

しかしこの工房では、ラックを成形して何かを作るのではなく、木の表面の色付け塗料として利用していた。それではその技法をこの時の実演で説明しよう。

まず丸棒状の木を手動旋盤で回転させ、下地となる赤色を木肌に押し付け、摩擦熱で溶かして色付けする。次に回転を止め、他の何色かを棒と平行に塗り付ける。再び棒を回転させ、力加減を増減しながら布で表面を圧迫する。すると木の表面に塗られたラックの部分がずれ、面白い模様が現れるのである。
つまりこの工房では、製造した木工品にラックによる色付けをして、より付加価値の高いものとして世に送り出しているということなのである。さあ、以上でラック工房の実演は終わりである。

しかし光りあるところに影があり、見学のあるところにお土産販売がある。
インドの強い太陽が作る軒先の濃い影の中に、いつのまに広げられたのか、数々のラック製品が並べられていた。見ればラックで色付けされたしゃもじやおたまなどの台所用品や、子どものおもちゃらしきものなどがあり、確かにどれもカラフルできれいである。しかし私はあまりこうしたものに興味が湧かない。それに私は先ほどのコッパー・ベルの工房でお土産を買ったので、もう充分に義務は果たしたと思う。
そう、こうした状況ではお土産品は免罪符なのである。

ありがたいことにここでは女性陣が興味を示している。そしてそのうちの一人が何かを買っていた。ああ、ありがたやありがたや。もしかしたら誰かが何かを買って心底喜ぶのは、工房の人たちではなく、ツアー参加者の方なのかもしれない。

さあ、これで胸を張ってこの工房から出られるぞ!

と思って出口に向かおうと振り向くと、

なんと、そこには新たなお土産街道が出現していたのであった。

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真鍮製のアンティーク弁当箱