南インドには椰子の木がたくさんあります。そりゃあもうそこらじゅうにという感じです。
そんな椰子の木のひとつに男が取り付いておりますが、なにも先輩からのイジメで「セミ」をやらされているわけではありません。ええ、ご推察の通りこのおにいさんは椰子の実を採っているのでありまして、そいつを観光客である私にジュースとして供しよう(こちら参照)というのであります。
しかしまあ普段から昇り慣れているとはいえ、このおにいさんの木の登りっぷりというのはなかなか見事なものでした。何の道具も使わず、するするっと登って行き、あっという間にてっぺんに付いている実をもいで下に投げるのです。
最近では木登りなどしたことのない子ども(もしくはすでに青年、または中年、はたまた老齢の域に達している方)も多いのではないかと思いますが、木登りのコツはなんと言ってもこの足の使い方ですね。
同じ「木に登る」と言っても猫などは木の肌に爪を立てて一気に登ると思うのですが、われわれ人類はいくら爪を伸ばしてもそんな芸当はできないわけで、この写真のおにいさんのように、足の裏で幹を包み込むようにして登るわけです。なので爪もなければ足の裏の面積も小さいブタなどは、どんなにおだてても木には登れないのであります。
ちょっと話は変わりますが、私が子どもの頃読んだ雑誌に架空の殺人事件の犯人を当てる推理クイズというのが載っており、その中のひとつに、「木の下に男が倒れて(死んで)いた。その男は裸足で、その足の裏には無数の引っかき傷が付いていた。近くにいた目撃者の話では『その男は木から落た』ということだった。はたして本当に男は事故死なのか?」みたいなのがありまして、その説明文に添えられた落ちた(と言われる)男の足の裏の拡大画像(絵ですが)には、確かにつま先からかかと方向にかけて無数の直線状の引っかき傷がついていたのであります。
さあ、はたしてその男は、本当に木から落ちて死んだのでしょうか?
えっ? インドの話題とぜんぜん関係ないじゃないか?
いえ・・・その・・・確かその事件現場がインド・・・だったんじゃなかったかなあ・・・
とにかく答は、「木に登っていて落ちたなら、足の裏の傷はつま先からかかとに対して平行には付かず横方向に付くはずなので、その男は木から落ちたのではない。つまりその嘘の証言をした目撃者が犯人である」ということだったのですが、もしかしたら死んだ男は木登りが初めてで、変な登り方(つまり木の幹に対して普通に地面を歩くような足の置き方)をしてしまったがために落ちたという可能性も捨てきれず、結局真相はいまだ藪の中なのであります。
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