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何事も無きこと、それすなわち無事ということなのだ:エアインディアの最新鋭機種

         
  • 公開日:2013年12月25日
  • 最終更新日:2022年7月25日

今回の渡印では数年ぶりにエアインディアを利用した。
そしてその往路はボーイング777型機であったということは前にもご紹介した。(その記事はこちら

かつてエアインディア(の日本路線)は、かなりぼろっちいボーイング747型機、通称「ジャンボ」を使用していた。そして乗り込んでいるスチュワーデス(当時の一般的な呼称)もまたジャンボな人が多かった。

しかしさすがの悠久の国インドの航空会社も、いつまでも老いた機体を飛ばせ続けることはできず、ついに新機種を導入したのである。

でまあ今回の往路は777型機だったわけであるが、なんと帰路は最新鋭機の787型機になっていたので驚いた。

とは言え、私は特に飛行機に詳しいわけではなく、またそれほど興味を持っているわけではない。それどころかむしろ飛行機は嫌いである。それゆえ今回のインド国内での移動も、飛行機なら2時間程度で移動できる距離を、26時間もかけて列車で移動したほどなのである。
でもさすがに日本から海路や陸路だけでインドに行くのは現実的に不可能なので、そこはまあ飛行機のお世話になるのである。

とにかく今回の帰路は最新鋭のボーイング787型機であった。
しかも就航直後であったため、その機内はエアインディアとは思えないほどきれいだった。
そしてまたキャビンアテンダント(現在の一般的呼称)もエアインディアとは思えないほどの、若くてスリムなおねえさんだった。

ちなみにチェックインカウンターの係員もまた、若くてスリムなおねえさんだった。
しかしちょっとすました感じがどうにも鼻に付き、機内預けの荷物の中身を執拗に尋ねるおねえさんに、こちらもちょっと冷たく答えてしまった。
そのためだろうか、機内はかなりガラガラだというのに、私の座った三列並びのシートにはしっかり三名の乗客が座った。前の三列シートと後ろの三列シート、さらには通路を挟んでの三列シートには誰も座っていないのにである。くそっ、あの女なんて根性ワルなんだ。隣に座ったインド人のおっさんも苦笑を通り越して爆笑していたが、乗客がほぼ全員乗り込んだところで私とそのおっさんは空いている席に移動し、それぞれ三列シートを独占することができた。でも覚えとけよ、カウンターの女。次の時はカバンの取っ手に鼻くそでも着けて渡してやるからな。

最新鋭の787型機のモニター画面は大きかった。かつてのボロジャンボでは、映画は共有のスクリーンに映し出され、あのなんとも色の薄いスクリーンを必死に眺めたものである。
それでもスクリーンが見えればまだいい方で、中にはどのスクリーンもほとんど見えない席というのがあった。私も一度そんな席になったことがあったが、映画を見るのをあきらめて窓の外でも眺めようとしていると、とたんにジャンボスチュワーデスが巨漢を揺すってやってきて、有無も言わせずぴしゃりとシェードを閉めてしまうのであった。

シェードと言えば787型機の窓には従来のようなシェードは付いておらず、代わりにガラス自体の透明度を変化させる装置がついている。仕組はおそらく液晶だと思うが、窓の下にあるダイヤルで何段階かに調整できるようになっている。
しかし少々反応が遅いので、初めのうちはちょっととまどう。
でもこのシステムならジャンボスチュワーデスもいきなりぴしゃり!とはいかないであろう。
もっともこの最新鋭の787型機には、かつてのジャンボスチュワーデスは一人も乗っていないようだったが。

機体は最新鋭でも食事は相変わらずだった。
これはノンベジメニューのチキンカレーである。まあ食事は初めから期待してないので、私にはどうでもいいのである。
それより食事の前のお飲み物のサービスである。これが実によろしくなかったのである。
なにしろビールを頼むと、スリムで若いキャビンアテンダントはすました顔で缶ビールを一本だけ渡すのである。

おいおいおいおい、それはないだろ、おい。
子どもじゃああるまいし、大の大人でしかもビール好きを自認し、それなのに普段は発泡酒しか飲んでないこの私に、せっかくの海外旅行の飛行機の中で缶ビール一本とはどういう了見でい!
それともこれもあのカウンターの女からの指示なのか?

その点かつてのエアインディアジャンボ機のジャンボスチュワーデスは、その容姿に決して恥じることのない太っ腹ぶりだった。
お飲み物サービスでビールを頼むと、「2本?それとも3本?」と聞いてきたものである。初めから一本なんて選択肢すらなかったのである。
言っちゃあなんだが、私は若くてきれいなキャビンアテンダントなんかより、おばちゃんジャンボスチュワーデスでもビールをたくさんくれる人が好きだあ!

もう一本下さいという私の必死のお願いに、キャビンアテンダントのおねえさんは渋々引き出しから缶ビールを出して渡してくれたが、その目はかなり冷たいものだった。

たった二本のビールではあったが、幸か不幸かインドでの活動でくたくたに疲れ切った体であったため、眠りにつくことはできた。

インドから日本に向かうフライトは往きよりも早い。
気が付くと窓の外には朝日が見えた。こんな風に朝日を直接見られるというのも、最新調光システムの窓ガラスならではである。

とまあ新しくてきれいな787型機は、かつてのジャンボ機のようにシートベルトが抜けてしまうこともなく、天井から水が滴り落ちて来ることもなく、背もたれが倒れなかったり倒れたままだったりすることもなく、実に快適に順調なフライトを続けているのであった。
しかしそれだけに、ここに書くようなネタもまた特になかったということなのである。

なんでもないことが、しあわせだったと思う。
でもちょっとなんかあることを期待してしまうのが、インドの旅なんだよなあ。

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これにて今年の記事更新はおしまいです。
本年もお付き合い頂き誠にありがとうございました。

この後は新年のごあいさつを挟みまして、今回のインドで周ったグジャラート州の旅をご紹介する予定です。

それではみなさん、よいお年をお迎え下さい!

真鍮製のアンティーク弁当箱