〔当時のメモより〕 *金額に関しては当時Rs.1が約2.7円、3倍にして1割引けば簡単に計算できます。 入国審査問題ナシ Arrival Gate にてピックアップの男を探す。これもすぐ見つかった。 外は熱風 男の案内したタクシーはスズキマルチの軽ワゴン車。 空港からの道すがら見かけた動物は、牛、サル、イノシシ(野ブタ?) 夕刻のラッシュアワーの中をぐいぐい進み約40分で到着。 しかし駐車場からホテルまでは路地をくねくね入って行き、なんだかいきなりインド人の生活の場所に迷い込んだ感じで圧倒される。 Star Palace Room No.403 シャワーを浴びくつろいでいるといきなり停電。 21:22 まだエアコン動かず 室温35℃ 21:50 やっと動く |
【以下の解説は2009年10月8日 のものです】
入国審査は難なく終了し、次は税関となるのですが、デリー空港の税関は特に検査台(審査台?)があるわけでもなく、出口付近に立っている係官(らしき人)に税関申告書を渡しておしまいとなります。
この時の私たちは機内に持ち込んだリュックだけでしたので、バゲッジクレームで荷物が出てくるのを待つわけでもなく、あっと言う間に出迎えゲート(メモには「Arrival Gate」と記載)に出てしまいました。
デリー空港はインドの中でも最も観光客に優しくない空港でありまして、プリペイド式のタクシーであってもどこに連れて行かれるかわかったものではなく、怖くて乗れないのであります。
なので私は事前に一泊目のホテルを予約し、そのホテルに空港への迎えも頼んでおきました。
デリー空港の出迎えゲートは通路を挟んだ両側に柵があり、そこに旅行者の名前やホテルの名前の書かれたプラカードを持ったたくさんの人たちが待ち構えていて、なんだかものすごい活気があり殺気さえ感じられるほどでした。
私は高ぶる気持ちをなんとか抑え、努めて冷静に迎えの男(まあ迎えの人は男と限ったわけではないのですが、インドではまず間違いなく男なのです)を探し、ほどなくホテルの名前入りプラカードを掲げた男(ほら、やっぱり男だったでしょ)を見つけ出したのです。
男に従い空港ビルの外に出ますと、実際に夕暮れなんだか例の黄色いモヤのせいなんだか、とにかくちょっと暮れかかったような明るさのくせにものすごい暑さでした。顔に当たる風は完全に熱風で、「おお!ついにインドに来たぞ!」という前向きな実感より、「やれやれ・・・はたしてこんな季節に3ヶ月近くも体がもつだろうか・・・」というやや怖気づいた気持になったというのが正直なところだったのであります。
さて、男が案内した車は日本のスズキ自動車がインドの合弁工場で作っているワンボックス型の軽自動車でした。事前にe-mailでやり取りした時には確か「タクシー」という言葉を使っていたので、まさかこんな車(しかもボロい)だとは思いもしなかったので驚いてしまいました。
*その後これと同じ種類の車が実際にタクシーとしてたくさん走っていることを知り、まんざらウソではなかったんだなあと思い直しました。
とにかくそんな軽ワゴンに揺られて空港を出発して一路メインバザールへと向かうのですが、これがちょうど夕方の帰宅ラッシュにぶち当たってしまったようで、それはもうすごい混雑ぶりです。なにしろ信号待ちなどでも決して行儀よくなど並ばず、少しでも隙間があれば車の鼻先を突っ込む!といった輩ばかりですから益々混雑に拍車がかかります。
そんな混雑の中、狭い車と車の間を縫うようにして近づいて来るのが乞食です。そのままにしておくと窓からその細い腕を差し入れ、今にも死にそうな声で「お恵みを~」などと言うものですから、エアコンの付いていない車ではありますが窓をぴしゃりと閉め、乞食と目を合わせないようひたすら前方を凝視し、車が走り出すのをじっと待つしかないのです。
またデリーはインドの首都とはいえそこはやはりインド、そこら中に動物がわさわさおります。この時に見かけたものだけでも、牛、サル、イノシシと多彩でした。
それでも私達を乗せた軽ワゴンは40分ほどでメインバザールに到着しました。
実はこれは今から考えるとなかなか早いタイムでありまして、車の増えた現在のデリーでは、この時間帯の移動では軽く1時間を超えてしまうでしょう。しかもこの軽ワゴンは途中で車の部品屋に寄り道したりしてましたので、2001年頃のデリーはまだまだ車が少なかったのですねえ。
予約したホテルのあるメインバザール(パハール・ガンジ)はニューデリー駅の真ん前にあるのですが、とにかくゴミゴミしたところで車をホテルの前に横付けすることなど不可能です。それどころか(後で分かったのですが)予約したホテルは狭い路地に面していて、そこでは牛と人がすれ違うのも大変なほどなのです。ですので車は一旦近くの空きスペースに停め、そこから路地をくねくね分け入って行くことになります。
そしてメモには「いきなりインド人の生活の場所に迷い込んだ感じで」とありますが、それは「感じ」などではなく本当に普通のインド人の生活の場なのであります。そこには確かに安い宿が密集していて、貧乏旅行の外国人がたくさんいるのですが、それよりはるかにたくさんの市井のインド人たちが住んでいる場所なのであります。
*写真は到着して何日後かに撮ったものです。この路地をもう少し入った右側にわれらのホテル「Star Palace」はあります。
とにかく無事ホテルにたどり着いたのでありますが、その細い細い路地のわきにいきなり現れるフロントにはびっくりで、さらに当初の話とは違う料金の提示で私の不信感はむくむくと湧き上がって来ました。
それでもまあ部屋を見せてもうことにして、フロントの人たちの「荷物はここへ置いておきなさい」の言葉も無視して重いリュックを背負ったまま、案内の男に付いて5階の部屋まで階段で(エレベーターなどありません)エッサホイサと上がって行ったのでありますが、部屋は大きな窓があり思いのほか快適そうだったので、とりあえず一泊することにしたのであります。
ホテルの名前は「Star Palace」といい(後日ホテル名が違うことが判明するが、この時はまだそう思っていました)、部屋は5階(最上階)の403号室(イギリス式に1階は「グランドフロア」なので403号室は5階なのです)、テレビ、エアコン、トイレ、ホットシャワー(お湯が出るという意味です)付きのツインルームで一泊一部屋600ルピー(割り勘なので一人300ルピー)です。
時間はまだ夜の7時頃ではありましたが日本時間ではもう夜の10時半(日本との時差は3時間半)、今朝は4時には起きだしていましたのでもうヘトヘトです。すぐにシャワーを浴びベッドに寝転びながらテレビなんぞを見ておりますと突然部屋が真っ暗に・・・はい、停電です。
すると勢いよくバタバタと階段を駆け上がって行く足音が聞こえ、次いでエンジンの音が階上から聞こえて来ました。どうやら屋上に自家発電の装置が設置されているようです。
そんなわけですぐに電気は復旧したのですが、それは灯りやテレビなどの基本的な電源だけのようで、エアコンのように高電圧が必要な機器は動かないようなのです。
とにかく5月のデリーといえば暑さのピークでありますので、夜とはいえみるみる間に室温が上昇して行きます。ついに私は我慢できなくなり、状況を聞きにフロントまで降りて行きました。なにしろお金を払ってエアコン付きの部屋にしたのですから。
そんな私に対しフロントの男は余裕の表情で、「ノー・プロブレム、20~30分で復旧するから大丈夫」などと胸を張るものですから、私はまたとぼとぼと階段を上って行き、部屋のベッドに倒れこみました。
実際に電気が完全に復旧したのは10時ちょっと前でした。
もうその時には私は力尽きてベッドの上でウトウトしていたのでありますが、先ほどフロントに降りて行った時の私の形相がかなりすさまじかったのか、わざわざ従業員が部屋まで「電気が来ましたぜ!」と言いに来てくれ、そのお陰で安眠が妨げられてしまったのであります。
つづく
[dfads params=’groups=39&limit=1′]