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われわれは何の予備知識もなしに洞窟へと入って行った:ジャグダルプル

         
  • 公開日:2011年3月9日
  • 最終更新日:2022年6月3日

前列三人後列二人という変則五人乗りの小型乗用車インディカは、しばらく森の小道を走ると、やがてちょっと開けた広場のような所に出て止まりました。

実はここはこのカンゲール渓谷国立公園の中でも有数の観光スポットである鍾乳洞があるのです。

しかしこの時の私は、まだパテルの言う「ケーヴ」を「渓谷」だと思い込んでいたために、よもやこの後あのワイルドな洞窟に入るとは思ってもいなかったのであります。(ちなみにこの洞窟の案内板は出て来た後で撮りました)とにかくこれから何が始まるのかはわからないけど、ここはレンジャーのおっさんとガイドのパテルに着いて行くしかないわけで、少なくとも雰囲気からして虎や豹が見られる場所ではないだろうなあということだけは容易に想像でき、若干足取りも重い私なのです。全体的に観光客の少ないジャグダルプル及びその周辺地域ではありますが、ここには多少観光客も来るようで、洞窟(だから私はこの時は「洞窟」とは思っていなかったのですが)へ向かう小道でインド人の家族連れとすれ違いました。

そしてそれはいきなりやって来ました。

小道のどん詰まりは大きな岩になっていて、その岩の隙間には下に降りるためのコンクリートの階段が付けられていたのですが、これが狭いのなんのってあーた・・・階段が折り返したところなんて、体を横向きにしなければ通れないのです。従って横向きでも厚みの変わらない体形の人は入るのはちょっと無理かもしれないのです。そんな階段をレンジャーのおっさんは慣れた足取りでどんどん行ってしまうのですが、私は一瞬入るのを躊躇してしまいました。

ここでようやく私も「ケーヴ」は「洞窟」だということを思い出したのですが、そんなことを今さら思い出しても、車に置かずに持って来たショルダーバッグと、スポーツサンダル風とはいえ一ヶ月ほど前にアレッピーで買った変なサンダルを履いて来てしまったことはどうにもならず、ただでさえも狭い上に天井も低い洞窟を、身をかがめながらショルダーバッグを抱えるという、冗談でなく本当に窒息してしまいそうな姿勢のまま進んで行かなければならないのでした。

半分本気で引き返そうかと思い始めたころ、ようやく洞窟は背の立つ高さになったのですが、クロマニョン人以来人類が享受してきた直立歩行のできる喜びを感じる間もなく、あたりのあまりの暗闇ぶりにあらためて気が付き驚きました。
とにかく本当に真っ暗なのです。鼻をつままれてもわからないというのはこのことです。普段の生活ではこれほどまでに光が遮断された状況に置かれるということがありませんので、なんだか平衡感覚もおかしくなりそうです。まあそのためにレンジャーのおっさんは出掛けに家に寄ってカンテラ型の懐中電灯を持って来たわけで、少し先に行くと立ち止まっては後ろを振り向き、われわれの足下を照らしてくれるのですが、所詮懐中電灯ひとつでは後から来る三人(私とMくんとパテルですね)の足下を均等に照らし続けられるはずもなく、Mくんはポケットから百円ライターを取り出し火を点けました。
そこで私も非常用に持って来た小さなLEDライトがあったのを思い出し、バッグの中から手探りでがさごそ探し出し、事なきを得たのであります。

ここはあくまでも鍾乳洞ですから、それを見る(レンジャーのおっさんからしたら「見せる」)のが目的なわけで、時折おっさんは懐中電灯の光を天井に向け何やら説明をします。ところがおっさんの言葉はほとんど聞き取れず、またその長さからしてもたいしたことは言ってないであろうことは想像がつくのです。
そんな時はガイドの出番なわけですが、パテルも鍾乳石を指差して「オール、ナチュラル」としか言わないのです。

その後もおっさんが適当な場所を照らし出してはもごもご言い、パテルがそれとかぶさるように「オール、ナチュラル」と言うだけという、なんとも頼りない案内が続きました。

真っ暗な上に足元も悪く、さらには信じられないほど洞窟内部は蒸し暑く、おっさんはもごもご、パテルはオールナチュラル、Mくんはライターが熱くなりすぎて落としてしまうという、もう何が何だかわからない状況が30分も続き、ようやくわれわれはこの洞窟から解放されたのでありました。洞窟から出るとパテルは私の顔を見て、「どうでしたか?」と聞くのですが、どうもこうもなく、まず第一に安全確保のための最低限の灯りを点けよ!それから案内する客には事前に必要な装備と心構えをさせよ! と言いたいところではありましたが、パテルの人のよさそうな顔は明らかに「この辺りで一番の観光スポットはなかなかのもんでしょう!」という表情を浮かべていたので、そこは日本人らしくあいまいな笑顔で「グッド」と言ってしまったのでありました。

ジャグダルプル観光はこんな感じでさらに続くのである。

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