インド人は総じて動物に優しい。
しかしそれは単に動物がかわいいからという理由からではなく、おそらく宗教の教えから来ているのだと思う。
つまり「やだ~、かわいい~」と思って餌をやったりするのではなく、子どもの頃から教え聞かされ、すっかり身に染み付いた習慣としてやっているのだろうと思う。
なのでハトに餌をあげている(正確には「撒いている」)おじさんの表情を見ると、あまり楽しそうに見えなかったりする。なんだか義務で仕方なくやっているようにも見える。少なくとも目を細めて「おお、ハトよ、かわいいやつじゃのお」などと、自分の孫に対するがごとき接し方などはしていないようである。
しかしこれは考えようによっては正しい動物との接し方かもしれない。
なにしろ「かわいい」ということを基準としないため、見た目がかわいくなくても、また幼少期のかわいさがすっかり消えてしまったのちも、以前と変わらず餌をあげるであろうと思われるからである。
お祭りの夜店で買ってもらったヒヨコやカメが、育ちすぎてしまって捨ててしまうことに比べたら、なんと立派なインド人たちであろうか。
さて、そんな優しきインド人であるが、とある家の軒先になにやらぶら下がっているのが見えた。
はて、なんだろう?話の流れから行って動物がらみのものだと思うのだが・・・
なるほど、吊るされているのは素焼きの壺で、それはハトの家とするためのもののようである。
その証拠に壺の口元からハトが覗いている。なんとまあ優しいのだろう。
しかもこの家には、こうした壺がいくつも吊るされているのである。
さすが大家族主義のインド人、ハトにも一族郎党みんなして一つ屋根の下で生活をさせてあげようという配慮なのであろう。
高い位置の壺を見て言うわけではないが、まったく見上げたものである。
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