browser icon
You are using an insecure version of your web browser. Please update your browser!
Using an outdated browser makes your computer unsafe. For a safer, faster, more enjoyable user experience, please update your browser today or try a newer browser.

2003年7月10日:パインズクラブ通信 第38号

         
  • 公開日:2022年8月6日
  • 最終更新日:2022年8月20日

暦の上では・・・

いよいよ子どもたちは待ちに待った夏休みを迎えます。
地域によって夏休みの期間に多少の違いはあるでしょうが、夏休みが楽しみなのは古今東西誰でも同じででしょう。

いよいよ夏休みが近づくと、学校では「夏休みグッズ」が配られます。

私が小学生のころの「夏休みグッズ」といえば、夏休み帳、夏休みの学習計画表、ラジオ体操用カードなどがありました。

このようなグッズを手にすると、「あー、今年も本当に夏休みが来るんだなあ」と実感し、40日後には呪い殺したくなる夏休み帳なども、とてもすてきなものに思えるから不思議です。

この「夏休み帳」というのは約40ページからなる問題集です。
各ページの上部には日付や天候を書き入れる欄があり、その下に課題が書いてあります。つまり一日1ページの課題をやることで、夏休み中も規則正しい生活を崩さないようにとの、まことに浅はかな教材なのです。

だいたい普段学校に通っていてもあまり規則正しくなかったりする子どもが、そんな教材にしばられると思っているのでしょうか?

それでもその教材の制作者達は、なんとか子どもの気を引こうと、ところどころに「早口ことば」や「回文」などを載せ、楽しい雰囲気を無理やり演出しようとしています。そして気が付くと、結構はまって「となりのきゃくは、よくきゃききゅうきゃくだ」などとやっている自分がいたりなんかします。所詮子どもです。

ラジオ体操のカードは、ハガキ大の大きさの厚紙に夏休みの日数分のマスがあり、そこにハンコを押すようになっているものです。
このカードは企業からの提供品のようで、さりげなくリボンシトロンのロゴやマークが入っていたものです。

私がまだ就学前の在宅児童だった頃、姉が学校からもらってきたラジオ体操のカードが欲しくて欲しくてしかたがありませんでした。
そこで「おねえちゃんと一緒にラジオ体操に行くからボクもカードが欲しい!」と駄々をこね、夏休みの初日にラジオ体操の会場である近くの工場の焼け跡
(と言っても空襲で焼けたのではありません)に親と一緒に行き、係のおじさんにカードをねだりました。

ところが係のおじさんは予備のカードなど持っていませんでした。
結局私は欲しかったカードが手に入らぬまま、翌朝から画用紙で作った父親手製のカードを持ってラジオ体操に行くハメになってしまいました。

私はカードが欲しくてラジオ体操に行くと言っただけで、本当は早起きして体操なんかしたくはなかったのです。

これじゃあ財産目当てに好きでもない人と結婚したのに、その家が没落してしまったようなものです。
ドッジボールをもらおうと思い一生懸命ベルマークを集めたのに、個人では申し込めず、学校のものになってしまったようなものです。
「今夜はカレーだからね」と言われたので楽しみにして帰宅したら、サバの味噌煮が作ってあったようなものです。

そしてもうひとつ、夏休みを迎えるにあたって毎年楽しみにしていることがありました。

 

*このメルマガの後半へ続く

〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。

*このメルマガの前半からの続きです。

 

あえて文頭の「夏休みグッズ」には加えておかなかったのですが、実は夏休みのお楽しみはまだあったのです。

それは「肝油ドロップ」です。

「肝油ドロップ」はクジラの肝臓の成分で作られてた栄養補助食品のようなものです。形も大きさもマーブルチョコくらいの固めのゼリーで、周りに砂糖がついていました。味は少しすっぱくて、とてもおいしいものでした。

今でもあるようですが、さすがに今ではクジラから採ったりはしていないと思います。なにしろ世界捕鯨委員会がうるさいですから。

先日もその会議で捕鯨国である日本は、ちょっと辛い立場であったようです。
でも私はここで捕鯨の是非をどうこう言おうとするのではありません。私はただ、日本語の「捕鯨」という言葉の響きが、外人にはどう感じられるのか興味があるだけなのです。

おそらくあれだけの国際会議です。当然同時通訳がついているはずです。従って日本代表はスピーチを日本語で行うでしょう。すると議題が議題ですから当然「捕鯨」という言葉が頻繁に出て来ます。この「ほげー、ほげー」と繰り返す日本代表の言葉が、外人の耳にはゴジラの鳴き声みたいに聞こえたりしやしないか、すごく気になるのです。

さて、話を肝油ドロップに戻します。

夏休みが近づきますと教室で「肝油ドロップ申込書」が配られ、各自希望の数量を書き込み、代金と一緒に先生に提出します。タダじゃなかったのです。

教育現場で販売するということに対する風当たりを意識してか、肝油ドロップのメーカーはその容器に工夫をしていました。その容器とはブリキ製の手のひらサイズの平たい缶だったのですが、そのフタの部分に「マメ知識」みたいな絵を入れるという、いじましい努力をしていたのです。

その絵は毎年変わるのですが、私の覚えているものに「動物スピードくらべ」があります。それは缶のフタにいろんな動物が走っている絵が描かれていて、各動物の走る速度が記入されているというものでした。

やはり一番はチーターでした。
そして二番はダチョウだったと思います。
気になる三番は・・・忘れてしまいました。

結局企業のいじましい努力を無にしてしまいました。申し訳ない。

申し込みから何日かすると、いよいよ肝油ドロップが配られます。

先生の「学校で開けてはいけません」という言葉も何のその、早速フタを留めてあるビニールテープをはがします。

見るだけだから、見るだけね。おー、かぐわしき香りよ、およそ1年ぶりじゃあないか。

脳はちゃんと味覚を覚えており、あの少しすっぱい記憶が舌の両側を刺激して、早くもよだれだらだら状態です。

1個だけ食べちゃおうかなぁ~

実は肝油ドロップは栄養補助食品なので、1日1個なのです。缶の絵のチーターも「1日1個、3日で3個、3個食べたら2個もどす」なんて唄っているようです。うんにゃ!

そんな掟も子どもの前では無力です。

もっと食べたいなぁ~、明日我慢することにしてもう1個食べちゃおうかなぁ~

なんて言いながら、結局夏休み中ず~と我慢するという約束を勝手に自分で決め、好きなだけ食べてしまうのです。

こういう子どもは肝油ドロップの消費量に比べ、夏休み帳の消化率が極端に悪いのは、誰の目にも明らかなのでした。

そして私の場合も、夏休みのごく初期の段階で肝油ドロップはなくなり、その分夏休み帳は大事にとっておくというお決まりのパターンで、夏休みの日々はチーターのような素早さで過ぎていくという事実を完全に忘れて、のんきに過ごしていったのでした。

「人生はワンツーパンチ!休まないで行こう!」

ではインドから無事に戻ったら、再来週の木曜日にまたお会いしましょう。

行って来ます!

次のページへ行く

目次へ行く目次へ行く

ページのトップへ戻る