南インドの乗合バスはたいてい窓にガラスが入っていない。車内を吹き抜ける風を受けながら車窓に広がる椰子のジャングルを眺めていると、私は実に幸せな気分になる。なので南インドのバスはこういうスタイルが正解なのだと思うし、いつまでもこうであって欲しいと願う。
南インドのバスはドアも至って簡単な作りで、ドアと言うより開き戸と言った方がしっくり来る。
ドアにはこのようなノブが付いている。しかしそれは内側だけで外側にはノブがない。従って途中のバス停で乗り込む乗客のために、中の誰かがドアを開けてあげなくてはならない。
通常それは車掌の係りであろう。嬉しいことに南インドのバスはまだワンマン運転ではないし、そもそも乗客が勝手にドアを開閉するなんて危険である。
しかしここではその乗客の誰かがその役に付く。この時は私だった。
またたくさんの荷物を持って乗ろうとする人がいれば自然とみんなが手を貸す。そこにはお礼の言葉なんてなにもない。ごく当たり前のことなのだ。
南インドのバスは、全員参加型のバスなのである。
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