子どもの頃、お祭りの露店にはものすごい魅力を感じました。
それは普段は見られない種種雑多な商品が、通りの両側をずぅーと向こうまで埋め尽くしているという圧倒感からでもありましたが、それだけではなく、それぞれの店になにやらアヤシゲな雰囲気があり、それが子どもの好奇心をくすぐっていたのではないかと思います。
そんなアヤシゲなものの筆頭は、お店ではありませんが見世物小屋でした。
あの木戸口の上に掛かっていた大布には、若い女性とヘビを組合わせたおどろおどろしい絵が描かれていて、それが「おいでおいで」と誘うのです。
人間の恐怖心と好奇心というものが、紙一重の隣同士だということをうまく利用しているわけです。
で、今回の写真はオールドデリーのさとうきびジュース屋さんです。
結構繁盛しているのでしょう。店の横からさとうきびの搾りカスが山となってはみ出ています。そんなさとうきびジュース屋さんの看板をふと見上げれば、なにやらアヤシゲな青い顔の人間とヘビが組み合わされて描かれています。まるであの見世物小屋の看板のようではありませんか。
しかしこの看板、別に人々の恐怖心や好奇心を煽ろうというものではなく、逆に人々の信仰の対象である神様の絵なわけですね。ヒンドゥー教のシヴァ神なのですよ。まあシヴァ神のパワーにあやかろうってところでしょうか。
ただやはり、ヒンドゥー教徒ではない私から見ると、こうした絵はどことなくアヤシイ(失礼)感じがしてしまい、そんな絵があふれるインドの街というものは、私の恐怖心と好奇心をくすぐって止まないのであります。
インドには、子どもの頃のお祭りのワクワク感が、まだまだいっぱい残っています。
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