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2001年5月20日:ムンバイ / チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅

         
  • 公開日:2022年7月26日
  • 最終更新日:2022年7月28日

インドの鉄道駅など、人の集まるところには必ずと言っていいほど置いてあるのが自動体重計である。これは有料のもので、計量台に乗って1ルピー(または2ルピー)コインを投入すると、体重が印刷された切符大の厚紙カードが出て来るというものである。

まずはムンバイの主要駅、チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅のものをご紹介させていただこう。

自動体重計はやたらと電飾ぴかぴか仕様のものが多く、人の多い駅でもそれとすぐにわかるようになっている。この写真のものも、上部のウインドウ内になにやらSFチックな球体がぶらさがっている。球体にはいくつかの丸い窓があり、そこから内部の発光体(おそらく普通の電球)が発する光を外に向けて照射している。
しかしその球体には「人の目を引く」という以外に役割はなく、ただそこにぶら下がってぴかぴか光っているというだけの代物なのである。

さて、とにかくその球体の発する光に誘われ、まんまと自動体重計の前まで来てしまったわけだが、そこで体重を量っている人など誰もおらず、立ち止まって見る人さえ誰一人いない。

「こんなもの使う人、本当にいるのだろうか・・・」

そう思いながらも足は自然と計量台の上に乗り、気が付けば右手はポケットの中の1ルピーコインを探し当てていた。
そして背中に視線を感じて振り向けば、そこには何人かのインド人が・・・

「お、おまえらさっきまで、見向きもしてなかったじゃないかよ!」

でもまあここでやめるわけにもいかないので、投入口にコインを入れてみた。
すると、がしゃんという音がして、受け取り口から数字が印刷されたカードが出て来た。

さっそくカードをつまみ上げて見てみれば、そこには「67.5」と印刷されている。どうやらこの機械は、500gの単位まで量れるようである。

この体重計の仕組みはすこぶる簡単なもので、通常の体重計が針もしくは数字盤を回転させて体重を知らせるのに対して、この自動体重計は0.5刻みの数字スタンプが配置されたドラムを回し、その数字をそのままカードに押印するというだけのものなのである。
ただここで注意しなければならないのは、数字スタンプの押印のタイミングが、コインを投入した時ということなのだ。つまり、計量台に乗る前や、計量台に乗った直後の、まだドラムの回転が停止する前などにコインを投入してしまうと、正しい値が印刷されないということになる。その点は体重計側も重要項目と位置づけており、ガラスウインドウ内には赤と白に塗り分けられた円盤が設置され、印字ドラムと同期して回転するようになっているので、そいつが止まるのを確認してからコインを入れよう。くれぐれもコイン式体重計の使用に際しては、この点に充分注意して正しい計量を心がけたいものである。

ちなみに私は、その2日後にもこの体重計に乗った。 その結果が下のカードなのだが、体重は66kgになっていた。なんと、たった2日で1.5kgも体重が落ちてしまったということになる。
実はこの頃ひどい下痢に見舞われており、ほとんど固形物を食べていなかったのである。

さて、この2枚の体重カードを比較して注目すべきことは、私の体重の変化などではないのだ。 本当に注目して頂きたいのは、カードのシリアルナンバーなのである。

この2日間で「50681」が「50871」になった。
つまり2日間で190人もの人がこの体重計を使ったことになるのである。

これは15分に1人の割合で使った計算になるのだが、この体重計が大都市ムンバイの主要ターミナル駅、チャトラパティ・シヴァージー・ターミナスに設置されているものだということから、あながち驚愕するほどのことではないのかもしれない。

ただまあ、カードの番号が飛んでいたということも、あながちあり得ない話でもないなあと思うのではあるが・・・

インドの南京錠