インドに行くときにいつも抱いている「淡い期待」があります。
それは「ヒマラヤを見る」ということです。
エア・インディアの成田発デリー/ムンバイ行きの直行便(最近エア・インディアしか乗らないので他の航空会社の事情はわかりませんが)は、その飛行ルートをヒマラヤ山脈の近くに取っているため、条件がそろえばヒマラヤが見えるはずなのです。
なので私は、いつもできるだけ「往路は右側」「復路は左側」の窓側席を取り、「その時」を今か今かと待ち構えているのです。
そんな思いを抱き続けて5年、エア・インディアでそのルートを通ること10回以上、なかなかそのチャンスが巡って来ませんでした。
それはなぜでしょう? 気象条件が悪かったのでしょうか?
まあ確かに復路に関して言えば夜間飛行になりますので、暗視スコープかよほど夜目の利く特殊目玉でも持っていなければヒマラヤを見ることはできないでしょうから、これはもうどうすることもできません。
でも実は、エア・インディア機からヒマラヤを望むことを阻む大きな要因が、気象条件以外に存在するのです。
それは、毎回エア・インディア機内で行われる映画のマラソン上映なのです。
エア・インディアは離陸後、乗客に飲み物と食事を与え終わると、すかさず機内を暗くして映画の上映を始めます。そしてそれは目的地に近づくまで延々と続けられるのです。まるで機内連続上映のギネスでも狙っているのかと思うほどです。
おそらくこれは乗客を楽しませると言うより、乗客を静かにさせておくという理由が大きいのではないかと思います。つまり、子どもにジュースとお菓子を与えてビデオを見せておとなしくさせるというのと同じなのです。そしてこれは子どもの発育にとてもよくないことなのです。
まだエア・インディアの乗客は9時間しかそんな状況下に置かれないのでいいのですが、これがインドに着くまで10年間くらいかかってしまうとすれば、きっとすぐにキレる乗客がたくさん育ってしまうことでしょう。
えー、と・・・私なんの話をしてるんでしたっけ?
あー、ヒマラヤね。ヒマラヤヒマラヤヒラマヤヒラヤマ・・・
とにかく、せっかく昼間飛んでるというのに、窓のシェードを全部下ろさないといけないのです。 少しでもシェードを開けると、素早く巨漢フライトアテンダントが突進して来て、「おら!そこ閉めい!」と怒鳴るのです。
しかし私は、そんな虐げられた生活によく耐え、ついにヒマラヤをこの目で見ることができました。
それは皮肉にも、12時間の出発遅延が発生した復路便でのことでした。
つまりいつもは夜間飛行になる復路が昼間になり、しかも食事時間かなにかで窓のシェードが開け放たれている時にヒマラヤの近くを通ったのであります。
えっ、
これだけ長々と話を引っ張るほどのもんじゃないって?
・・・
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・
私、ひたすらヒラアヤマリ。
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