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2005年2月11日:パインズクラブ通信 第124号

         
  • 公開日:2022年8月10日
  • 最終更新日:2022年8月20日

暦の上では・・・

今日は建国記念の日です。

決して「建国記念日」ではなく、「建国記念」の「日」なわけです。
そこんとこがミソなんですね。

つまり「建国」した日ではなくて、「建国記念」した日なんですね。

もともとは戦前の「紀元節」から来ているようですが、それだって本当にその日に国が出来たのかよ?って言われれば、ちょっと自信がないわけです。もしかしたら10日だったかもしんない。いや、12日だったかもわかんない。しかも途中で旧暦と新暦の入れ替えなんかもありましたので、そこら辺はまあ、あいまいになってしまっているわけです。

だからちょっとぼかして、「建国記念」の「日」という言い方になっているんですねえ。

これとよく似た例に、こんなのがあります。

「おっ、トシオ、お前大学行ってるんだってな。どこの大学?」

「あっ、東京・・・の・・・大学です」

「へー、東大行ってんの!すげー!」

ってな感じですね。

このように「の」という一見何の変哲もないナルト巻のような文字は、内容を変えてしまうすごいパワーがあるわけです。

それでは他にもいくつか例を見ていきましょう。

「カレーライス」→「カレーのライス」(カレー用に炊いたご飯のことね)

「獣医師」→「獣の医師」(バイソンとかが診察してくれるのね)

「納豆巻」→「納豆の巻」(なんか「食品の話シリーズ」のひとつね)

「義理チョコ」→「義理のチョコ」(血はつながっていないんだけど法律上はチョコなのね)


というわけで、今年もついにあの日がやって来るわけです。

はい、そうです。バレンタイン・デーです。

もう用意しましたか?

いえ、チョコじゃなくて、チョコをあげたのにいい返事がもらえなかったときの心の準備です。男性の場合はチョコをもらえなかったときの心の準備です。

余計なお世話かもしれませんが、そうした覚悟の上でとり行わなければならない行事だと思うわけですね、経験者としては。

紙袋を提げて登下校したのに、家についてもまだ袋が空だったときの気持ち・・・
高校の時だけで3回も味わっていますので、私にはよく分かるのです。

とは言え、若い男女(いえ、別に年齢制限はないのですが)にとっては、この日はやはり特別な日で、特に女性は1ヶ月も前から準備を開始します。

手作りの方が相手のハートをつかめるんじゃないかと思い、せっせと材料を買い込んでくるわけですね。せっせっせっ。

チョコを湯煎にかけて溶かし、型に流し込むわけです。どろどろどろ。

でもって、表面に字を書いたり絵を描いたりするわけです。ぶちゅぶちゅぶちゅ。

「愛」

なんてコトバをでっかく書いちゃうんですね、ピンクかなんかで。

そしてそれをラッピングするわけです。がさごそがさごそ。

そしてバレンタインデー当日、彼を待ち伏せしてチョコの包みを差し出します。

「これ、受け取って下さい!」

まあこういうケースを経験できる男というのは、当然のことながらいい男です。顔がよかったり頭がよかったりスポーツが得意だったり金を持っていたりと、なにかしらの分野で他人より秀でているようなやつなんです!なろー!

ですから、チョコもいっぱいもらえるんですね!くそ!

誰からどれをもらったかもわかんなくなっちゃうくらい集まるんです!けっ!

「今年は30個か・・・まずまずだな・・ふふっ」

なにが!「まずまずだな」っだ!

「ふふっ」じゃねーよ! ばーろー!

はあはあはあはあはあ・・・

でね、そーゆーやつだから、もらったチョコもぞんざいに扱うわけです。

普通は神棚とかにあげるでしょ、一回。で、1ヶ月は毎日眺めて暮らすわけじゃないですかあ。もったいなくて食べられなくてさあ。

それを、そーゆー男はすぐにばりばり包装やぶいて、チョコもぼりぼり食っちゃうんですね、たぶん、あくまでもそーぞーですけどね。

だから、あげるほうも自分のことを強く印象付けられることをしなきゃなんないんです。

「あー、うまいうまい・・・ぼりぼり・・・・ん?・・・なんだ、これ?」

もらったチョコのひとつをほおばっておりましたら、なにやら異物の感触が致します。

あっ!と思って指を口の中に入れ、その異物をつまんで引き出しますと・・・

「け・・・毛だ!」

口の中からは長い女の黒髪がぞろっと出て参りました。

「ううう・・・だ、誰の・・・誰のチョコだ・・・これ・・・」

「あっ!」

「分かった・・・」

「あの、スキンヘッドの女のだ・・・」


ざまーみろ!色男め!

愛をなめてはいけないのだ!へへーん!

みなさんも、愛の受け渡しはくれぐれも慎重になさって下さい。

 

*このメルマガの後半へ続く

〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。

*このメルマガの前半からの続きです。

 

さて私の方はと申しますと、そんなお祭り騒ぎとは無縁の生活でありまして、まあせいぜい友人と酒を飲んで騒ぐくらいのものでしょうか。

先日も世間がサッカー・ワールドカップ予選「ニッポン対ヨロコビ組」戦に酔いしれていたとき、私は友人と酒に酔いしれていました。

実はその日は旧正月ということもありましたので、1月にできなかった新年会を開催したわけであります。

その日も忘年会でやったのと同じ鍋パーティー形式ということで、各自具材を持ち寄り、そいつを大鍋にぶち込むというやり方でした。
そしてそんな時の主役は、なんといっても板前の友人なのであります。

思い起こせば2ヶ月前、忘年会鍋パーティーを開催した折には、その手にフグをぶら下げ登場し、一同から大喝采を浴びたその男。

そして忘年会終了時には、新年会はカニ鍋にしようと、やはり一同から期待の言葉を一身に浴びたその男。

えー、本日のメインエベント!タラバガニ8本勝負!

永年その味の良さでカニ界に君臨しておりますタラバガニ。
カニ界の王者と言っても決して過言ではないその勇姿。
しかしその華やかな表舞台とは裏腹に、実はカニではないという出生の秘密を抱き、母を恨んで泣いた夜もありました。

「あー神様、おれはいったい、なに様ですか?」

などとウルフルズみたいなことを言っちゃって、そして真実を知ったその日、ひとり部屋にこもり泣きました。

「あー、おれはカニじゃなくてヤドカリだったのかあ!」

おーいらは、ヤドカリ、おまえーニワトリ

と、今度は世良公則とツイストみたいなこと言っちゃって、若き日の悩みは尽きないのであります。

「じゃあ、おれは一生洗面器の中でがさがさやって、割り箸と輪ゴムで作ったハシゴなんかに登らなきゃならないわけ?あん?」

などとグレかけたとき、そんな彼を救ってくれたのは、同じヤドカリ出身の先輩でした。

「おまえさ、そーゆー考えさ、暗いよ。もっとさ、楽にさ、考えてさ、生きようじゃん。サーフィンみたいにさ、世間のさ、波にさ、うまくさ、乗るわけ。わかる?そこんとこ?」

南国生まれでサーファーの先輩、ヤシガニはいつも明るく前向きです。
なにしろ台風でも冬でも平気でサーフィンしちゃうくらいなのです。

そんな「どう見てもお前はヤドカリのでっかいやつだよ!」みたいなヤシガニの妙な明るさに勇気付けられたタラバガニは、人生の希望を取り戻します。

「そうだ、おれは割り箸のハシゴなんかに登るんじゃなくて、みんなの食卓にのぼってやるんだ!」

そうだ!その意気だぞ、タラバガニ!

来い!いつでも来い!喰ってやる!


まあそんなことで鍋パーティーは始まったのですが、板前は例のごとく遅刻して来るようです。

タラバガニ・・・もとい、板前の友人をただ待つのもなんですので、それぞれが持ち寄った具材、カキ、キノコ、トーフ、ハクサイなどを大鍋に入れ、煮ることにしました。カニに敬意を表して、植物性のもの中心の具材です。

「飲まずにイライラ待つよりも、飲んで笑顔で迎えよう」

というのが私の信条なので、すぐにビールがつがれ乾杯しました。

そしてメインの具なし鍋をつつきながら、カラオケを始めました。

これはインターネットでダウンロードするタイプのやつなので、最新曲までばっちり歌えるという優れものなのですが、わたしらにはそんなのはぜんぜん関係ないのですね。誰もそんなの歌いません。いくら老いさらばえても、若いやつらにげーごーせん!

まったくう、最新曲作ってるヒマがあったらさあ、森田健作の曲作ってよね!

それからさあ、NSPの曲がなんで1曲しかないわけ? わけわかんないよ!

と文句を言いつつも、歌えそうな曲を選ぶ・・・てこてこてこ・・・

だいたい景気付けの一曲は、山本リンダかピンクレディーってとこですね。

山本リンダの「狙い撃ち」なんてのは、高校野球の応援にも使われているので、カラオケにもちゃんとあるので助かります。

高校球児並びに応援団の諸君!

今度はNSPの曲で応援するよーに!

そんなこんなで新年会も盛り上がって参りました。

そして!

そこに板前の登場だ!

「おー!待ってたんだよ、乾杯もしないでさあ」

と、毎度おなじみのつまんない冗談を言いながら、さあさあ奥へ奥へと、板前を中へ導きます。

導きながらもわれわれの視線は、常に板前のぶら下げているビニール袋に注がれているわけだあ、これが!

さあさあ、早く早くう、タラバガニい!

われらの熱い視線を感じながら、板前は袋に手を突っ込むと、こう言いました、

「あのさあ、カニじゃないんだ・・・」

思わず息を呑む一同。

「カニが高くてさあ・・・それに箱じゃないと買えないんでさあ・・・」

箱でよかったのに・・・とは言えない一同。

「あっ、いいよ、そんなの、うんうん、ぜんぜんへーきだよ、なあみんな?」

なんとか声が震えないようにそれだけ言うと、一同はへなへなと着席しました。

板前の持ってきたものはタラの白子でした。
刺身でも食べられるもので、半分ほどを刺身で食べ、残りは鍋にぶち込んで食べました。

もちろんおいしかったです。
それにタラバガニはタラの漁場にいるので「タラバ」という名前がついたくらいですから、常にタラとは近くで生活してると思うんですね。つまり、海に溶け出したタラバガニの旨み成分を、タラが吸ってないとも限らないわけで、そんなタラがおいしくないわけがないんですね、ええ、ええ。

だからぜんぜんいいのです。
ただ手拭用に用意したタオルが無駄になっただけですから、はい。

しかし板前の持ってきたものは、タラの白子だけではなかったのです。
ビニール袋の中から、すでに切り身になった魚を取り出しました。

その白身の刺身を食べてみますと、鯉のように歯ごたえがありすごくおいしいんですね、これが。

「あっ、うまい! これなに?」

と尋ねるわれわれに、板前は、

「アイナメ」

と答えました。

ふーん、これがアイナメというのか、この歳で初めて食べたな・・・

なにしろ、愛をなめてかかれるほど、もてなかったからなあ。

そんなオヤジたちの宴会は、深夜まで続いたのでした。


さあ、みなさんもしっかり愛情を込めたチョコを贈ってあげて下さい。

そして幸運にももらえた方は、しっかりとその愛を受け止めてあげて下さい。

で、もし余ったら、ウチへ送って来い!

それでは、また来週!

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