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2005年2月4日:パインズクラブ通信 第123号

         
  • 公開日:2022年8月10日
  • 最終更新日:2022年8月20日

暦の上では・・・

今日2月4日は「立春」です。

実際にはまだまだ寒い日が続きますが、立春過ぎれば寒さなんて一瞬で過ぎ去ります。


さて、寒い時には暖かい食べ物なんかいいですね。

鍋物とか汁物とかとにかく熱いやつを腹に入れますと、体が中から温まります。また辛いものとかお酒なんかも、体の中から温かくしてくれます。

逆に体の外側から温めてくれるものと言えば、それはもうお風呂が一番でしょう。
できれば温泉がいいですね。
源泉かけ流しのたっぷりとしたお湯に、手足を伸ばして浸かりますってえと、はぁ~ぁ、びばのんのん、ごくらくごくらくぅ~・・・となります。

どうです? 温泉入りたくなっちゃったでしょ?

実は私・・・うふふふ

先週の土曜日・・・くすくす

一泊で・・・えへへへ

温泉に・・・くっくっくっ

行って参りました!

わっはっはっはっ!


あれ? 不機嫌そうですね?


しかしホントに温泉っていいですね。

その言葉の響き自体いいですね。
ちょっと言ってみましょうか。

おんせん

ねっ。

なんだか弾んでいるみたいな感じがします。

「おん」でひとつ弾んで「せん」でもう一回弾んで、これを3回くらい繰り返しますと、

おんせんおんせんおんせん

ってすごく弾んでるような感じで、さらに6回くらい続けて言いますと、

おんせんおんせんおんせんおんせんおんせんおんせん

ってもうぴょんぴょん弾んじゃって、思い切って10回くらい続けてみますと、

おんせんおんせんおんせんおんせんおんせんおんせんおんせんおんせん・・・

うっせーぞ! ばーろー!


宿のチェックインは午後2時からでしたので、そこはしっかり時報とともに入り、すぐに部屋で浴衣に着替えて大浴場へ参りました。

大浴場の入り口のスリッパはまだ数えるほどで、脱衣所の籐のカゴなんかもそのスリッパと同じ数しか使われていません。どうやらハダシで来た人はいないようです。

しめしめ、今ならゆったり入れるぞ。

これが混んでる時間帯ですと、なかなか大変です。

なにしろ脱衣カゴの幅は左右とのスキマを入れてもせいぜい60cmほどしかなく、さらにそのカゴは3段の棚に収まっておりますので、もしそこに人が殺到したら大変です。
60cmの幅を3人で使うことになりますので、一人分20cmしかないという計算になります。これは通勤電車のラッシュ時並みの混雑状況となり、もはや温泉でのんびり気分などと言っておられません。

そこでサラリーマン生活35年、山下五郎(仮名)、今こそ日頃鍛えたこの技、見せてくれるう~、でやぁ~ぁ!

あの混雑した車内で、日本経済新聞を細く折りたたんで読むという、あの大技! 名付けて「そんなに新聞読みたいんなら、もう30分早く起きりゃいいだろ!」の見せ所なのであります。

さあ、五郎は直立したままの東海林太郎スタイルで、ほとんど腕を動かさずに浴衣を脱いでいきます。そしてその浴衣を折りたたみ始めたのですが、その折り方は非常に細かい、まるでひし形の連続のような変わった形であります。いったいあの折り方は、なんなのでしょうか?

あっ!あぁー! あれは! あれは、ミウラ折りだぁ~!

東大名誉教授にして宇宙構造物設計の第一人者、三浦公亮氏の考案した平面を復元するのに非常に有効な折り方。
小さくたたんだ紙の端と端を持って引っ張ると、簡単に広がるミウラ折り。
宇宙空間に於いて、折りたたんだパネルを展開するために考案されたミウラ折りは、地図などへの応用を経て、いまここに「温泉場混雑時に於ける浴衣の効果的収納方法とその展開」といった形で結実したわけであります。
大宇宙に賭ける男のロマンが、今温泉場で花開いたのであります!

なんてことになるんですが、今はまだ空いているので、ミウラ折りは必要ありません。

とにかく脱衣カゴは使い放題状態ですので、浴衣や下着を別々のカゴに入れていってもまだだいぶ余ります。思い切って浴衣なんか長いまんまで三つのカゴにまたがせて入れようかとも思いましたが、そんなことをしたって何の得にもなりません。そこはぐっとこらえて、さてどのカゴを使おうか・・・

あっ、55番が空いてる!

こういう番号のふってある棚とか下駄箱なんかを利用する時って、やはり好きな番号や関係のある番号を選んでしまいます。たとえばぞろ目やヒイキのスポーツ選手の背番号とかです。

ですから選んだ番号を見ますと、その人のことが少し分かります。

おっ、あの人3番を選んだね。 長嶋のファンなんだな。

とか、

ふ~ん、あの人は無造作に13番を使ってるね。ははぁ~ん、外人じゃないな。

とかです。

自動車のナンバープレートなんかも観察すると面白いですね。

これはナンバープレートの番号を自分で選んだ人の場合で、それは陸運局を示す漢字の横にある小さな数字の十の位が3のものなのですぐに分かります。(「品川530」とか「なにわ331」とかですね)

たとえば「3110」ですと「3=さ」「1=い」「10=とう」となり、その車を運転してるのは斉藤さんだということが分かります。

そういう風に見ていきますと、「・110」は伊藤さんで、「・310」は山東さんで、「・510」は後藤さんで、「8940」は薬師丸さんです。

さらにこの4桁の数字を西暦に見立てますと、「1492」はコロンブスさんで、「1192」は鎌倉幕府さんで、「・794」は平安京さんとなります。

さらに時代をさかのぼりますと、「大化の改新」なんかは人気があってなかなか取れないでしょうね。なにしろあの年号覚える語呂って「645(むじこ)の日なし大化の改新」ですから、無事故でいられるわけです。

そしてもっとずーとずーとさかのぼって、原始人がナンバーを取ろうとすると、さて、何番になると思いますか?

はい、答えは「1004」です。

なにしろ先史時代ですから。

あっ、もうこのオチで今回のメルマガ締めてもいいんじゃないでしょうか?

でもよーく思い出してみましたら、私は車のナンバーの話をしてたんじゃないんでした。

温泉の脱衣所に戻らねばなりません。

さて、私は運良く栄光の55番をゲットでき、あたかも自分が憧れの人に近づいたような気分で服を脱ぎ始めました。

そしてたまにその人のポーズを真似て、軽くジャンプし空中で足を前後に開いたりしてみます。

さらに、影絵のキツネの手を口元に持って行き、「飛びます、飛びます」なんて言ってみたりします。

そうしてすっかりコント55号になりきった私は、いよいよ待望の風呂場へと入って行くわけであります。やれやれ。

 

*このメルマガの後半へ続く

〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。

*このメルマガの前半からの続きです。

 

大浴場にも人はまばらでした。

洗い場もガラガラで、蛇口だけにカランとしています。
しかしこう空いていると、返ってどの蛇口の前に座ったらいいのか迷ってしまいます。

広い床の一角には、まだその日使われていないプラスチックの洗面器や椅子が、小高い山のように積まれていましたが、その山をいたずらに崩す気にはなれず、すでに使われて蛇口の前に放置されているものを使うことにしました。

シャワーのお湯で椅子を軽く洗い流し、いえ、正確に言えば椅子の汚れを洗い流したのであって、椅子自体をシャワーの水圧で流し去ろうとしたのではないことくらい賢明なみなさんは分かっているので先に進めますと、その上にどっかと腰掛け洗面器にお湯を張ります。

じゃー!

温泉にかぎらないんですが、公共浴場の蛇口って押すと一定時間お湯がじゃーとでる仕組みのものが多いですよね。

あれはお湯の出しっぱなしを防ぐのには有効なのでしょうが、止めたい時に止められないので不便なこともあります。
たとえばタオルをゆすごうとするときなど、もう充分ゆすいだのにまだお湯がざぁーざぁー出てるもんだから、仕方なく一旦洗面器のお湯を捨てて、新たにきれいなお湯を溜めようとしたときに、ぴたっ!と止まってしまったりします。

あれは、やですね。

なんだか「よし!もう1回ゆすごう!」という決意の行き場がなくなります。

ありあまる青春のホトバシリの受け皿がなく、暴走族になってしまいそうです。ぶいんぶいん!

そんなことを考えながら洗面器に溜まるお湯を見つめておりましたら、それこそ青春時代のことを思い出しました。


あれは学生時代の合宿のときのことじゃった・・・


あまり大きくはないその宿は私たちだけの貸切状態で、当然風呂も他の人が入らないという好条件でありました。

洗い場の蛇口はお湯と水のコックをひねって出すタイプのものが三つありましたが、今のように温度調節のダイヤルなどなく、とにかく熱湯と冷水を混ぜ合わせて適温にするというものでした。
そしてその蛇口は、せっかく苦労して適温にしても、別の蛇口を使い始めると、お湯の温度が変わってしまうというようなものだったのです。つまり他所でお湯を使い始めると、自分の所に来るお湯の量が減ってしまうわけですね。水もまた同様でありました。

そんな蛇口と悪戦苦闘していた私でしたが、横の蛇口を後輩の上田が使い出したとき、ふと面白いことを思いついたのです。
それは、上田がお湯を使おうとするときに、こちらの蛇口でお湯や水を出し、あちらの温度を調整してやろうというものです。
さらに上田の向こう側の蛇口を使っていた、同期の武田にも応援を頼みました。

そんなことも知らないで、上田はシャンプーを始めました。くすくす。

やがて上田はたくさんの泡で目が開けられない状態のまま、シャンプーを洗い流すのにちょうどいい温度になるよう蛇口の調整を始めました。
ところがそれと同時に、私と武田は自分の所の蛇口から水を思いっきり出していたのです。つまり上田は、水が極端に供給不足になった状態で温度調節をしているわけなんですね。くすくす。

そしてシャワーの口からほとばしるお湯が適温になったとき、上田は手探りで壁のホルダーにシャワーのノズルを固定すると、シャンプーの泡を流しにかかりました。

よし!今だ!

私と武田は無言で目配せをすると、今まで出していた水を止め、今度はお湯を思いっきり出し始めました。

突然のお湯と水の使用量の変化は、上田のシャワーノズルに如実に現れ、上田は叫び声を上げました。

つめてぇー!

上田はなおも頭上より降り注ぐ冷水を浴びながら、必死に蛇口に取り付くと、水とお湯の量を変えて行きました。つまり水を少なくし、お湯を増やしたのです。
突然冷たくなった原因など考える余裕もなく、冷水シャワーを浴びながら一生懸命適温にしようとするその姿に、私たちは笑いをこらえるのが大変でした。

しかしそんなのんきなことは言っていられません。上田は再び、心地よい適温に調整してしまったのです。そうはさせるもんか、上田ぁ~ぁ!

私と武田は素早くお湯の放出を止め、直ちに冷水の放出を開始しました。

再びお湯と水の使用量が急激に変化し、供給不足になってしまった冷水は、無情にも上田のシャワーノズルへの供給量を減らしてしまい、その代わりと言っちゃあなんですが、熱湯が上田のシャワーを潤します!

上田は突然、

あちゃちゃちゃちゃちゃぁぁぁぁぁ~~~~~~~っ!!!

と叫ぶや、目の前の壁を蹴って椅子ごと後ろへ飛びのきました。

プラスチックの椅子の上で体を「く」の字に曲げ、後ろ向きにタイルの上を滑り去るその姿は、まるで車エビのように美しく、今も私たちの脳裏に深く焼き付き、思い出し笑いの対象となっているのでございます。


ざあざあざあざあざあ

おっと、美しき青春時代に思いを馳せておりましたら、ついついお湯が溢れてしまいました。

温泉も限りある資源です。大切に使いましょう。

さて、ようやく湯船にでもつかるとしますかね・・・

うっ・・・ふぅ~~~~ぅ・・・

いやあ、ごくらくごくらく。

温泉は英語で「ホット・スプリング」なんて言いますが、暖かい春ももうすぐそこまで来ております。

寒さももう少しの辛抱です。

みなさん、がんばって行きましょう!

では、また来週!

ふぅ~・・・気持ちいいなぁ~~~~

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