ここはインド亜大陸最南端カニャークマリの駅です。インド最南端の地ということで、当然駅もインド最南端になります。
しかもこの駅は、ヨーロッパのターミナル駅などでよく見られる「頭端駅」と呼ばれる行き止まり式のものですので、ここに見えるレールの先端が、本当に鉄道王国インドのレールの南の果てというわけなのです。そして見方を変えれば、インドの大鉄道網はすべてここから北に広がっているとも言えるわけです。なんとすばらしい。
そんなインド亜大陸最南端の駅の駅長さんに、私は会って来ました。
と言いましても、インタビューをしに行ったわけではありません。
実はその時私は、この駅から出発する列車のチケットが取れずウエイティング状態になっていて、それでいてホテルはチェックアウトして来てしまったために、なんとしてもその日の列車に乗りたかったのです。
駅の窓口で問い合わせても「実際に列車が入って来てからじゃないとわからない」と言うだけでどうにもなりません。
そこで私は駅長に直談判しようと思ったのです。なにしろ旅行ガイドブックに、「インドの駅長はとても偉く、大きな権限を持っている。困ったことがあったら相談してみよう」みたいなことが書いてあったからです。
で、駅長室にのこのこ行ったわけですよ、私。
駅長さん、かなり偉そうでした。
そして駅長さん、私のお願いに対して一言も声を発さず、黙って私の後方を指差しました。
はい、
そこ、出口ですね。
私、ベンチでおとなしく夕方の列車入線まで待ちましたとも、ええ。
世の中そんなに甘くないということですね。
[dfads params=’groups=39&limit=1′]