タージマハル基壇の四隅には、それぞれ1本ずつミナレット(尖塔)が建っています。元々「ミナレット」というものはイスラム教の礼拝所(モスク)にあり、その用途は礼拝の時間を知らせるものですので、お墓であるタージマハルにあるこの塔は、もしかしたらミナレットとは言わないのかもしれません。
でもここは「このミナレットが」なんて言い方をすれば、「あっ、なんかこの人ちょっと知識あるんじゃない」なんて思われるかもしれませんので、このまま行きたいと思います。
えー、それで、このミナレットの高さは約43mあるのですが、天に向かって聳え建つその雄姿を仰ぎ見ますれば、おっ、なんでしょ、一番テッペンが展望台のようになっているではありませんか。
そしてミナレットの根本に目を移せば、ほぉ~ら、入口らしき木の扉がありますねえ。やっぱりここから中に入り、おそらく螺旋階段かなにかで上がれるようになっているのでしょう。ところが、その入口の扉は固く閉ざされていて中には入れないのです。
実はこのミナレット、少し傾いているのです。
まあそれが一般公開しない理由になるかどうかはわかりませんが、タージマハルのミナレットは4本どれもが外側に向かって傾いて建てられているのです。
というのは、万が一地震が発生してミナレットが倒れるようなことがあっても、タージマハル本体にだけは倒れかからないようにと、外側に傾斜させて建てられたというのです。
なんとまあ、「まさか」の時のことまで考えてるなんて、まるで損保の人みたいじゃないですかあ、シャー・ジャハンさん。
しかしです・・・
シャー・ジャハンが傾けたのはミナレットだけではなかったのです。
莫大な費用を費やしてこんなでっかいお墓を建ててしまったものですから、さしものムガル帝国の財政も傾いてしまったのであります。
そしてシャー・ジャハンは、もうひとつの夢であったこのヤムナ側を挟んだ対岸に黒い大理石でタージマハルと同じデザインの自分のお墓を建てることをかなえることなく、息子のアウラングゼーブに捕えられ、アグラ城に幽閉されてしまったのであります。
*すべて2008年3月時点の情報です。
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