これはインドの伝統的オーブン「タンドール」である。
タンドールという言葉に聞き覚えがなくても、タンドーリチキンならご存じなのではないだろうか。そう、タンドーリチキンはタンドールで焼いたチキンのことなのである。
タンドールは竪穴式の壺型窯である。この壺の底で火が焚かれ、ナンは窯の内壁に貼り付けて焼き、チキンなどは長い串に刺したり鉤で吊るしたりして焼くのである。
といったようにタンドールはオーブンであるから、火を入れて充分中の温度が上がらなければ使えない。なのであまり早く夕食(6時とか)に出掛けると、タンドール料理が食べられなかったりする。そういう時間帯は手っ取り早く作れるフライドチキンなどしかなく、がっかりするのである。
それなのに朝からタンドーリチキンを注文している人がいて、度肝を抜かれたことがあった。
それはツアーでインドに来たおじさんだったが、数人いる仲間のうち一人だけ朝食が運ばれて来ておらず、そこに現れた添乗員が怪訝に思い何を注文したのか聞いたところ、「タンドーリチキン」とのことだった。他の人たちはトースト程度の軽いものを食べているのに、ひとりだけ朝からタンドーリチキンなのである。
まあそれほどまで食べたかったのであろうが、夕方でも食べられないタンドーリチキンを朝から注文するとは・・・でもってそんな注文を受けた店の方も店である。
結局おっさんのタンドーリチキンが運ばれて来る前に、他のツアー参加者はこれから始まる長いバス移動に備えるべく、一旦ホテルへと帰って行ったのであった。
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