えー、インドに於けるチャイ屋さんの南北対決(比較)ということで、前回は北インドのチャイ屋さんをご紹介致しました。
でもって今回は南インドのチャイ屋さんになるわけですが、南インドを代表してケララ州の州都トリヴァンドラムのチャイ屋さんの登場です。(あっ、申し遅れましたが、北インド代表は首都ニューデリーのチャイ屋さんでした)
はい、南インドのチャイ屋さんの商売道具もごく少なく、やはりこの写真にそのほぼすべてが写っております。まず手前左側の台には砂糖や香辛料のビン、チャイグラスなどがあります。
そして写真中央奥には寸胴ナベとその上に乗った金属製のつぼが見えますが、寸胴ナベではお湯を沸かし、その上のつぼはミルク入れになっていて、寸胴ナベの余熱でほどよく温められるという仕組みになっています。
寸胴ナベの下のコンロは北インドのものとほぼ同じものになりますが、とにかくここでは片手ナベではなく、寸胴ナベというところがミソなのです。
それではチャイの作り方です。
まず寸胴ナベのお湯を使って紅茶を淹れます。もうそこからして北インドとは違うのです。
紅茶の淹れ方はごく普通で、茶葉を入れた茶こしをグラスの上にかざし、その上からお湯を落とすだけです。北インドのように煮出したりしないどころか、英国の上流階級のようにティーポットの中で茶葉を踊らせ、ついでに心も踊らせたり(ホントは英国上流階級でそんなことしてるのかどうかよく知らないのですが)なんてことはしないのです。
さて、こうして紅茶ができるとそこにミルク、砂糖、その他秘伝のスパイス(これはまったく入れないこともあります)を投入するのですが、これじゃあただのミルクティーと変わらないじゃああ~りませんか。
でもご安心下さい。ここからが南インド代表の腕の見せ所なのです。
チャイ屋のおやじは一見ごくふつーに出来上がったミルクティーのグラス(または金属製のカップ)を頭上高々と持ち上げると、「かんぱ~い!」などとは言わず黙って別のグラスに注ぎ落します。
その落差は1mにも達するのですが、そのくせすさまじい轟音や飛沫の散乱などもなく、ジョボジョボときっちりグラスに収まって行くところが職人技なのであります。
*この行為は何度か繰り返されます。
まあこの高所からの落下はチャイの成分を混ぜ合わせるために行われるものなのですが、北インドの念入りジョワジョワ煮出し法と目的としては同じになるわけです。つまり北の「ジョワジョワ」に対して、南の「ジョボジョボ」ということです。ちょっと音的には似ているので、この辺はしっかり整理して覚えておきましょう。
とにかくこれでチャイができあがりました。
北インドの超アツアツチャイと比べると若干ぬるめではありますが、なあに、ここは南インド、チャイ屋のおやじも上半身ハダカでドーティー(腰巻みたいなもの)姿です。
バナナでも食べながらゆっくりティータイムとしようじゃありませんか。
あわてない、あわてない・・・
ひとやすみ、ひとやすみ・・・
[dfads params=’groups=39&limit=1′]