本館二階の廊下の突き当りを左に折れると、そこはオープンエアな通路になっており、そこからも中庭が見渡せました。
そして中庭の反対側、つまり「本丸」の外側に面したところには、ヒンドゥー様式(まあこの建物全体がヒンドゥー様式なので当たり前なのですが)のおしゃれなバルコニーがあり、小さなテーブルと椅子のセットが置かれています。ここで外を眺めながらくつろげるようにしてあるわけです。しかしこのテーブルと椅子の間隔からいって、テーブルを挟んで向かい合って座るのはとうてい無理のようです。恋人同士が目と目を見つめあいながら愛をささやくには、テーブルをひざの上に乗せるしかなさそうです。
そんなバルコニーを横目で眺めつつ、ふたたび視線を正面に向けますと、そこには部屋がありました。入口のドアが大きく開いていましたので、てっきりそこも一般開放のスペースかと思い、中に入って写真など撮っておりましたら、見知らぬ少年が驚いたような目でこちらを見ているじゃあありませんか。
むむっ、不審なやつ・・・
しかしどうも様子がおかしいです。 だってこのテーブルの上には、食べ終えたアイスクリームの器が置いてあるのです。まるで誰かが我が物顔でこの部屋を使っているようなのです。はて?
はい、その通り。どうやらここは客室のひとつだったようです。
なので「不審」なのは少年の方ではなくて、勝手に他人の部屋に侵入して写真など撮っていた私の方だったわけですね。
しかしまあ、この部屋は実におしゃれな造りです。出窓風のところにベッドなんかしつらえられていて、まさしくマハラジャ気分にひたれそうです。しかもここはスイートルームのようで、この左側にも部屋が続いているのです。
ちょっとそちらの部屋も覗いて見たかったのですが、今度は親が出て来たらまずいと思い、まだじぃーとこちらを見つめ続けている少年に愛想笑いなど振りまきながら、すばやく三階部分へ移動して行ったのであります。
すたすたすた・・・
*すべて2007年3月時点の情報です。
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