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その12:タージマハルの装飾の説明

         
  • 公開日:2008年12月12日
  • 最終更新日:2022年6月23日

タージマハルはご存じのように白大理石で作られた白亜の建造物で、青空を背景に聳え建つその姿は誠に美しいわけなのですが、それはただ単に白いだけではなく、近くば寄ってとくと見てみれば、こうした細かい花模様のレリーフや、色石を使った象嵌(ぞうがん)細工などが至る所に施されているのがわかるのであります。こうした細工は諸国から集められた名工、職人たちの手によるものなのですが、その制作過程においてもその技術はだんだんと進化していったようです。

それ自体はなんら人々の生活を向上させるわけではない伝統工芸や美術、芸術といった分野は、強力なパトロンがあってこそ花開くものであって、それなくしては決して育つことがないのであります。ということでタージマハル建設に携わったそうした職人たちの技は現代に引き継がれ、もしあなたがパックツアーやガイド付きの旅行でアグラを訪れたのなら、必ずタージマハル観光の後には、大理石に色石を組み込んだ象嵌細工を製造販売するお店にご招待されることでしょう。

それは旅行社とお土産屋がタッグを組んで行われる強力プレイで、そこから逃げるのはなかなか難しいのですが、そこはまあ彼らが言う「これはただのお土産物じゃないんだ。何百年も続く伝統の技で芸術なんだぞ」という言葉に従い、見学してみるのも悪くはないでしょう。ただし同じように見える象嵌細工の商品も、よ~く見るとその巧拙がわかります。

やはり本当にすごいものは、長い年月をかけて腕を磨いて来た職人が、さらにその作品の制作にも時間を掛けて細かい細工を施しますので、いくら人件費が安いインドでもかなり高価になります。

でもって「あら、この小さいコースターは安いわねえ」とかいうような代物は当然その程度のものでありまして、特に色石をはめ込んである部分の出来がイマイチなのです。たとえば色石で作った花びらをはめ込む場合、本来なら大理石もそれと同じ形に彫り込んでぴったりとはめるというのが「象嵌」のはずなのですが、安物はだいたいの形に彫り込んだ穴に色石のパーツを入れ、隙間を白い粉(おそらく大理石を砕いたもの)で埋めるといった方法で作られたりなんかしております。

おっと、なんだか今回はタージマハルじゃなくてお土産屋での商品選びのコツみたいな話になってしまいましたが、なにはともあれ、まずはタージマハルの「本物の細工」をしっかりと見て、充分に目を肥やしてからお土産屋に乗り込みましょう。

*すべて2008年3月時点の情報です。

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インドのショール