私が高校生の頃、学校の坂を下ったところにパン屋さんがありました。パン屋さんといってもいわゆるベーカリーというものではなく、パンや牛乳、お菓子やジュースなどを売るお店で、おばちゃんが一人で切り盛りする程度の小さなお店です。
そんな小さなパン屋の狭い店内の一角には、やはり小さなテーブルと何脚かの丸椅子が置いてあり、よく不良っぽい学生がタムロをしておりました。まあ今から思えばパン屋でタムロする不良というのは、なんともかわいいものだなあと思うのですが、その頃はパンを買おうと店に入り、店の隅に身を寄せ合うようにしている彼らに「ぎろっ!」と睨まれると結構怖かったものです。
きっと彼らにしてみれば、そんな小さなパン屋が、ちょっとした憩いの場であり、自分を自分として受け入れてくれる数少ない場所だったのかもしれません。
さて、この写真はインドの街角でよくみかける屋台のパーン屋です。パーンというのは噛みタバコのことで、キンマという葉で石灰や各種香辛料を巻いたものです。こいつを噛むとツバが赤く変色するのですが、それをぺっ!ぺっ!と地面に吐き散らしている、擬似吐血おっさんなどもよく見かけます。
調合はその店のおやじが行うのですが、店によって、また客のリクエストによって、いろいろと味が変わるようです。
写真の屋台にもいろいろな材料が並んでいますが、このおやじがそれらをうまく調合するわけです。
私もひとつ作ってもらいました。
一口サイズに丸められた緑色の葉っぱを口に入れ、恐る恐る奥歯で噛んでみましたら・・・
うっ・・・
青臭いというか・・・薬臭いというか・・・
なんだか舌もしびれるぞ・・・
ううっ・・・吐きそうだ、吐き出してしまいたい・・・
でも、
みんなが見てる。
ぎろぎろ見てる。
な、なんだ・・・
もしかして、
き、君たち、不良のみなさんでーすか?
[dfads params=’groups=39&limit=1′]