インドの路上でみかける商売のひとつに床屋さんがあります。
屋外で散発をするという光景は映像的に伝えやすいのか、日本のテレビなどでもたまに紹介されますので、他の路上の商売よりもよく知らせた存在なのではないでしょうか。
こうしたインドの青空理髪店は、大きな木の下などでも営業されていますが、この写真の床屋さんは建物の壁を利用して商売をしていました。しかしまあ扉のカンヌキや窓の格子を利用して、鏡やタオル掛けまでセットしておりますが、この扉が開くことはないのでしょうか。他人事ながら心配になってしまいます。
さて、このお客さんが座っている椅子なのですが、見ての通りただの木の椅子です。日本の理髪店にあるような機械式で昇降したり、背もたれが倒れたり、はては背中の部分が振動したりするようなものとはだいぶ違います。
しかしひとつだけ可動式の部分があります。
はい、それは頭を支えるヘッドレストです。
ヘッドレストは背もたれの中央に刺さっているT字型のものなのですが、この柄の部分にはいくつか穴があけられており、その穴を釘で留めることによって高さ調節ができるようになっているのです。
この「釘穴式昇降方式」は、私が小学生の時に足の骨を折り、何ヶ月か通院した接骨院(ほねつぎ)でも足乗せ台として採用しておりまして、私はこの床屋さんの椅子を見るたびに、そんなほろ苦い思い出に浸ってしまうのであります。
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