連日気温が40度を軽く超え、また空気が乾燥しているインドの夏ともなりますと、水分補給は本当に必要不可欠なものです。
とまあ、そういう話はすでに何度も書いて来ましたが、今回は「歓迎の気持ちで出される一杯のお水」の話なのであります。
インドの小さな商店などには、必ずと言っていいほど水を入れた容器が置いてあります。ほらこの写真にも水の容器が三つも写っています。
容器はプラスチック製のものやブリキ製のもの、そしてまた素焼の瓶(さすがにこいつは街中ではあまり見かけませんが)など様々ですが、中の水は当然そこら辺の水道から汲んで来た水なわけです。
で、通常その水は店の人たちが飲むのでありますが、重要なお客さん(まあここでは私ってことになるわけです)がやって来ると、店の主人は「おおっ、よく来たよく来た」などと喜び、店の小僧に水を持って来るように言い付けるのです。はい、それは日本でお茶を出すように、いえ、もしかしたらそれ以上の歓待の意味を持つ、客人をもてなすインド式の作法なのでしょう。
でも私はいつもこの瞬間、「ああ、水はこの主人の分だけでありますように」と心の中で祈ってしまいます。だって小僧の持って来る水は九分九厘「生水」なのです。昔から「他所へ行ったら生水には気をつけろよ」と言うくらい、飲み慣れない水というのは体に悪いのです。なので私がインドの水を飲んだら下痢するかもしれません。いえ、それどころかもしかしたら肝炎やアメーバ赤痢なんかにならないとも限らないのです。インド初心者などは、歯を磨くのにもミネラルウォーターを使ったりするほどなのです。
どうか神様・・・私の分はありませんように・・・
そんな願いもむなしく、小僧の運んで来たお盆の上にはステンレスのコップがふたつ並んでいます・・・なにしろ客人歓待用の水ですから当然なのです。
水が運ばれて来ると、主人はひとつを私に勧めるとともに自分でもごくごくと実にうまそうに飲み始めます。それはまるで、「ほら、この水には毒なんざ入っちゃいないんだぜ。さあさあ、あんたも飲んだ飲んだ」と言っているようです。
そこでまあ恐る恐るほんの一口だけ喉に流し込むのですが、暑い時季などはこれが意外に(?)おいしくて、つい全部飲みほしてしまうこともあります。
まあそうなるともうあとは運を天に任せ、今後の幸多き人生が(せめてインド滞在中だけでも)どうぞ無事でありますようにと願うばかりなのであります。
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