以前はインドの車といえば「アンバサダー」でした。
まだインドは車が少なかったということもありましたが、デリー市内を走る車に占めるアンバサダーの割合はとても高かったのです。
また大統領官邸近辺の整然とした官庁街を走るアンバサダーは、実に堂々としてかっこよかったものです。
と、そんな話をすると「いつの時代?」と言われてしまうかもしれませんが、インドの経済鎖国が解かれたのはつい15年ほど前なのです。それまでは外国からの投資には厳しい制約があり(あんまり詳しく知りませんが)、また車を輸入するにも高い関税(確か100%・・・ん、もしかしたら200%だったかな? まあとにかくすごい高関税だったのです)が課せられていたため、インド人は現実的にはインド製の車を買うしかなかったわけですね。(スズキの小型車は割と早くからありましたけど)
ところが今では町を走る車を見れば、欧州、日本、韓国などの車がびゅんびゅんと我が物顔で走り回り、アンバサダーは本当に少なくなりました。今年NHKで放送された「アジア大回廊」という番組の中では、現在のアンバサダーの市場占有率を「1%」と伝えておりました。まったく驚きです。
そんなすっかり影の薄くなったアンバサダーですが、この写真のような販売店がまだまだ各地にありますので、その愛好者が少なからずいるというのは事実なのです。インド政府は遺跡の世界遺産登録や新世界の七不思議登録だけに奔走せず、この絶滅の危機に瀕した「走る化石」の世界遺産登録を強く推進すべきだと思う次第なのであります。
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