前回、前々回と、インドに於ける洗濯事情というものをお話しして参りましたが、今回もしつこく洗濯のお話しです。
旅先での洗濯で一番困るのは、洗濯物がなかなか乾かないという事態です。
これはまあ旅先に限らず、日本の主婦のみなさんも常日頃からの悩みのタネで、特に梅雨時の日本列島では、津々浦々で「やだわ、お洗濯物まだしめってるじゃなあい」などと落胆する姿をよく見かけるのです。(本当はよその家を覗き見してるわけではないので見たことはないのですが、たぶんそうなのです、ええ)
しかし日本の主婦(または主夫)に於いては、まず外で干し、それで夜までに乾かない場合は室内に干すという二段構えができますので、まだ心に多少の余裕が持てるのではないかと思うのです。
ところが、旅先ではそうはいきません。
なにしろ最初から室内で干すのが普通なのです。その後がないのです、アトがね。
しかも旅には旅立ちというものが付き物です。旅立ちのない旅なんてものはこの世になく、あの世に行く時ですら旅立ちというコトバを使ったりするのです。つまり、旅立ち無き旅は旅にあらずして、そういうのは定住もしくは安住または居座りなどというのです。
とにかくまあ、出発の日は来てしまうわけですよ。
インドという国は、たいして絞ってもいない水滴ぽたぽたのズボンでさえも、半日で乾かす実力の持ち主なのですが、それでも雨季などでは乾きが遅くなります。
そんな半乾きの洗濯物をリュックに詰め込み移動してしまいますと、次の宿で大変なことになってしまいます。
狭い室内で旅装を解き、リュックの中身を展開したその瞬間、なんとも言えない生臭いような甘いような、とにかく気分の滅入る臭気が部屋を満たしてしまうのです。
そんな事態だけはなんとしても避けたい!
という思いが、私をあのような行為に至らしめてしまったのでございます。
出発の時を間近にして、私はまだ湿っている洗濯物を手にして、さてどうしたものかと思案に暮れていました。
すでに荷物はリュックに詰められ、洗濯ロープでさえ外され収納してしまい、一週間以上も滞在したこの部屋は、到着した時の状態+空のペットボトルが十数本+シーツに付いた一週間分の汗とヨダレ(ぜんぜんシーツを取り替えてくれなかったので)という状態になり、残すはこの湿った洗濯物の始末だけなのです。
そんな風にしばらくあれこれ考えていたのですが、うまく考えがまとまらないときは、一度上を見上げるといいのです。人間、考え事や悩み事があると、ついつい下を向いてしまいがちなのですが、そういうときこそ上を向いてみるべきなのです。
と、天井を見上げた私に、突如素晴らしいアイデアが浮かんだのであります。
はい、それがこの写真のような、天井扇に洗濯物を引っ掛け、高速で回して乾かすということだったのであります。お陰さまで洗濯物は、短時間で見事に乾きました。
でも、その後耳にしたところでは、インドではこの天井扇が落下するという事故が、珍しくない程度に発生するということなのです。
そんな自重のみで落ちてしまう天井扇に、洗濯物をかけたら落下の危険性は一気に高まるわけです。
なのでみなさん!
私がこんな素晴らしい方法をご紹介したからといって、決してマネなどしないで下さい。
もしマネして天井扇が落下してしまったら・・・
もう一度洗濯をやり直すハメになりますぜ。
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