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インド:大英帝国の置き土産・インドの壮麗な鉄道駅

         
  • 公開日:2007年3月1日
  • 最終更新日:2022年6月25日

いきなりですが、ここはどこでしょう?えっ?インドのどこかだろうって?

あっれぇ~、なんでわかりました?

はあ、インドのことを書いている記事だからインド以外のどこでもないだろうって・・・
まあそうなんですけどね。
ここはひとつ「イギリス」って答えて欲しかったわけですよ。なにしろ赤い二階建てバスなんてのも走っていますしね。

というわけで、ここはインドはムンバイ(旧ボンベイ)にあるヴィクトリア・ターミナス駅です。

ご覧の様にゴシック様式で建てられた(と書いておきながら、ゴシック様式のなんたるかも知らないのですが)の建物は、とても駅舎とは思えないほど荘厳であり、在りし日の大英帝国の栄光を垣間見る思いが致します。

実はこの駅、もう10年近くも前(正確には1998年)に「チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス」という名前に変えられているのですが、この姿を見たらどうしても、つい「ヴィクトリア」と呼んでしまうのです。

「おお、愛しのヴィクトリアよ」

「いえ、あなた。私はもうヴィクトリアではないのよ」

「何を言うんだヴィクトリア。君は今でも僕の大切なヴィクトリアなのだよ」

「ごめんなさい・・・あなた。私はすでに名前を変えてしまったの・・・」

「そ、そうだったのか・・・でもいいさ!名前なんか関係ない!僕は今でも君を愛しているのだから。これからは新しい名前で呼ばせてもらうよ」

「そう、ありがとう。新しい名前は『チャトラパティ・シヴァージー』って言うの」

「それ・・・男の名前じゃねーかよ!」

ってなわけで、チャトラパティ・シヴァージーというのは昔の英雄の名前なのです。
しかもそのお姿は、立派なひげを蓄えた武人であり、とても勇ましいのです。
なので、どうもこの建物の印象とうまく交わらないのですよ。そのためか、ムンバイの人たちの多くも、いまだに「ヴィクトリア」の呼称を使っているようなのです。

でも実際にこの建物の中、つまり駅に入ってみますと、そこには他のインドの駅となんら変わらない雑踏が存在しており、たくさんの乗客がたくさんの荷物を持ち右往左往し、列車を待つ家族連れが床でお弁当を広げていたり、その辺で寝ている人たちがいたりするのです。そんな活気に満ちた戦場のような情景を見ると、「チャトラパティ・シヴァージー」の名前も違和感がないのかもしれません。

ですからここはひとつ両者の顔を立てるってことでね、外から見た場合は「ヴィクトリア」、内部に入ってからは「チャトラパティ・シヴァージー」ってことで、まあ丸く収めていただければと思う次第なのであります。

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