一晩夜行列車に揺られ、やって来たのはラジャスタン州ウダイプールである。
さて、駅に行ったら当然これ。
はい、もうお分かりかと思うが、コイン式の有料体重計なのだ。ウダイプール・シティ駅は有名観光地の玄関口だというのに、その利用者数はあまり多くないのか、こうした体重計がひとつしか見当たらなかった。私は列車からホームに降り、陸橋を渡って改札を出るまでずっと体重計を探していたのだが、ようやくそれを発見したのは改札を出たところだった。ウダイプール、しょぼ!
でもまあひとつでもあればとりあえず充分である。さっそく体重を測定してみることにする。
まずは測定台に乗り、赤と白に塗り分けられた円盤が停止するのを確認してから1ルピーコインを入れる。
すると機械が動き出し、カードに体重が刻印され出て来る・・・
あれ? 動かない・・・
まっ、機械だっていつもいつもちゃんと動くとは限らないのである。しかもここはインドなのだからなおさらである。
そこで今度は2ルピーコインを投入してみた。なにしろこの体重計には「1ルピーまたは2ルピーコインを投入」と書いてある。なんとも便利な両用タイプなのだ。
しかし機械はやはりうんともすんとも言わない・・・
壊れているのか? そのわりには自信満々にビカビカ光りやがって!
私は周りの目を気にしながらも、体重計のボディーをこぶしで一発叩いてみた。昭和の機械はみんなこうして直したものなのだ。でもこんな昭和レトロムキダシの体重計はそれくらいの振動にはびくともせず、相変わらず人を小馬鹿にしたように豆電球を光らせているだけであった。
ううう・・・悔しい・・・
なにしろ体重を刻印する装置は私のすぐ目の前、このガラス一枚隔てた中にあるのだ。そしてその装置と言うのが極めて簡単な仕掛けで、カードホルダーからカードを一枚スライドさせて回転式刻印ドラムの上に載せ、上から小さなハンマーでぎゅっと押すだけなのだ。なので許されるならこのガラスを叩き割って、自分の手でカードに刻印してやりたい!ぜひそうしたい!
しかしそれをやってしまうと器物破損でタイホされ、旅もここで終ってしまうからなあ・・・
私は3ルピーのお金を取られたことより、体重を刻印したカードが手に入らなかったことが実に残念でならなかったのである。
ウダイプール、ホントにしょぼ! なろー!