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2005年9月9日:パインズクラブ通信 第167号

         
  • 公開日:2022年8月11日
  • 最終更新日:2022年8月20日

暦の上では・・・

台風の季節です。

日本列島に大雨と大きな被害をもたらしました台風14号。
みなさまのところはいかがでしたでしょうか。
被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。


さて、関東地方も大雨に見舞われた7日の水曜日、よりによってそんな日に外出しなければならない用事がありました。

当日の朝、窓の外はもっんのすごい雨でした。こんな日に外出しなければならないなんて、もう泣きそうです。

それでも電車に乗ってしまえば雨には当たりません。問題は駅までのアクセスです。

そこで駅までは家人に車で送ってもらうことにしました。そうすれば電車に乗る前に傘を差すことはなく、折りたたみの傘をカバンに入れておけます。長い傘を持ち歩かないで済むわけです。こりゃ楽です。

車が駅に近づくと、うまいことに雨も小降りになりました。これなら車を降りて走れば、ほとんど濡れずに駅舎にたどり着けそうです。

駅前の一般車両の停車場所は混雑していたので、本当はいけないのですが空いていたバスの発着スペースに車を止めてもらい、私は後部座席からすべるように素早く降りました。

ところがです。

私が降りるより先に黄緑色の物体が私の目の前を滑って行きました。

するするする・・・

やがて運動を止めた黄緑色の物体は、その細長い体を歩道に横たえました。

あっ・・・

あれは・・・

駅前の歩道に横たわる黄緑色の細長い物体は、車に乗り込むまで使用した傘でした。
玄関の傘立てにささっていたもので、犬のイラストなどが描かれていて、とてもかわいい傘でしたが、どうせ車に乗るまでだし、あとは車の中に残しておけばいいんだということで持ち出したものです。
そんな足元に置いておいた傘の一部が、私の足のどこかにぶつかり、外に放り出されてしまったというわけなのです。

ああ、いけないいけない、と思いそいつを拾い上げ、再び車に積み込もうと振り返ると、すでに車は走り去った後でした。なにしろ本来止めてはいけないバスの発着所ですから、素早く降りて素早く発進!が基本なのです。

すでに駅前のロータリーを回り込んで走り去る見慣れた車を見送る私の手には、犬のイラストのついた黄緑色の傘が握られており、カバンの中の折りたたみ傘と合わせると、つまりは2本の傘を持っているわけで、これならどんな大雨が降ってもへっちゃらだい!と心強く思う私でありました。

 

*このメルマガの後半へ続く

〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。

*このメルマガの前半からの続きです。

 

雨も一日中降っているのであれば、傘は便利で必要不可欠なものになるのですが、出掛けに降っていた雨が途中で止んでしまいますと、とたんに不要の長物(まさしく「長物」です)となってしまいます。ましてや日が差して参りますと、もはや「不要」を通り越して「ジャマ者」になってしまいます。なんて恩知らずなことなんでしょう。

私は小学生の頃、傘をよく壊しました。
雨上がりの下校時には傘でそこらじゅうをつつきながら帰るものですから、細いホネはあちこちに折れ曲がり、ひどいときには傘の先っちょのとんがった金属部分がポキリと折れ、布張りの傘本体が棒の部分から抜けてしまうということもありました。

でも中学に入るとさすがにそんなことはしなくなりました。
ジャマな傘は学生カバンのフタの部分に挟み込み、カバンの前後から突き出させながら持ち歩きました。そして雨が降ってくると居合い抜きの達人のごとき素早さで引き抜き差すのです。

ところが私のカバンは取っ手の部分を自分で修繕してあり、修繕に使った長いビスの先端がカバン内部に突き出ていたものですから、そいつが傘の布にひっかかり、せっかくの電光石火の早業もただ単に傘にかぎ裂きを作りダメにしてしまうだけに終わってしまうのでした。

高校生になるともはや居合い抜きの真似事もしなくなりましたが、電車やバスに乗り継いでの通学途中に紛失してしまうということが出てきました。
しかも、傘を置き忘れたのに気がつくのは次の雨降りの時なものですから、駅の遺失物係りの人に「いつ置き忘れたんですか?」と質問されても、「この前の雨の日」としか答えられず、ついに傘は私の元へは帰って来ませんでした。片時も放さず、あんなに大事にしていたというのに・・・

そんな私もサラリーマンになると昔みたいなマヌケなことはなくなり、たとえ傘を電車に置き忘れても、ホームに下りたとたんに思い出すようになりました。
しかし傘の置き忘れに気付いても、動き出した電車を止めることはできませんから、結局なすすべもなく立ち尽くし走り去る電車を見送るしかないわけで、それはそれでなかなか辛いことなのでありますよ。

私の通っていた小学校には、各クラスに何本かの置き傘がありました。
それらは基本的には黒い傘なのですが、傘本体の三角布の一枚が黄色か赤色の布になっているという代物でした。もちろんそれは学校側が意図して作ったもので、いかにも「これは学校の傘ですからね」と主張しているような傘だったのです。なにしろ当時の傘は、男子は「黒」、女子は「赤」、低学年は「黄色」という分布になっていて、カラフルなものは一切なく、ましてや布の一部に別色を使っているものなどなかったのです。

そんな傘でも急な雨降りの時には、用意の悪い生徒たちの間で争奪戦が繰り広げられました。
そこで先生は「家が遠い人から優先的に使っていいです」と傘使用のルールを言い渡すのですが、生徒たちは学校を中心にいろんな方角に帰るもので、単純な距離比較が難しいのであります。
ですから傘の争奪戦には当事者以外の生徒も加わり、「トシヒコくんちよりマサカズくんちの方が遠いよ!」とか、「いや、トシヒコくんちは坂道だから時間がかかるよ!」とか、「マサカズくんはおにいちゃんがいるから、おにいちゃんの傘に入れてもらえよ!」とか、「トシヒコくんは坊主頭だから濡れて帰れよ!」とか、とにかくそんなことを言い合うのでした。

そんな中において私は飛びぬけて家が遠かったものですから、もう文句なく傘を借りることができました。

しかし私は、その傘をめったに借りたことはありませんでした。
それは、翌日傘を持って来るのが面倒だったからです。

雨が上がっているというのに傘を持って歩かなければならず、また雨が降っていたら自分の傘を差した上に学校の傘を持って歩かなければならないわけです。そんなことをするくらいなら、片道濡れて帰った方がマシです。それくらい、傘を持ち歩くことが嫌いなのです。

そんな私が傘を2本も持ち歩かなければならない・・・そんなばかな・・・

(あっ、話はまた先日の水曜日のことになっております)

しかもその日は電車を降りてからも雨の止み間を縫って移動することができ、早い話が2本の傘のどちらも使うことなく終わるという幸運に恵まれたまま、終電間際の電車で帰宅したのであります。

めでたしめでたし。

どうぞみなさん、「備えあれば憂いなし」です。

傘は常に予備も持ち歩きましょう。

また来週!

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