これはマハラジャの専用車です。シティ・パレスの中に停まっていました。
シティ・パレス博物館のひと通りの見学を済ませ、下に降りて来た私の耳になにやら軽快な音楽が聞こえて来ました。なんだろう?と思ってさらに進んで行きますと、この白い車が停まっていたのです。車の後部ドアの前からは少々汚れてくたびれているとはいえ一応赤い絨毯が敷かれ、その横には制服を着た運転手だか従者だかがうやうやしく立っている様子から、これはマハラジャの車で、ちょうどこれからマハラジャがお出かけになるところらしいということがわかりました。(念のためそこに立っている男に確認したので間違いありません)
すでにマハラジャが威光を放つ時代は遠い過去のこととはいえ、それでもマハラジャはマハラジャ(さすがに恐れ多くて「腐ってもマハラジャ」なんて表現は使えません)、車はアンバサダーではなくベンツです。ちなみにウダイプールの王は英国統治下でもその独立を守り通したという誇りから、自らを「マハーラーナー(武王)」と称し他の「マハラジャ(王)」とは一線を画しているのですが、ここ(私のこの記事ですね)ではマハラジャと対をなす言葉「マハラナ(王妃)」との混同を避けるため、あえて「マハラジャ」と呼ばせて頂いております。
さて、ここでご注目頂きたいのは実は車の車種ではなく、このナンバープレートです。
通常インドの車のナンバープレートは、州を表す二文字のアルファベットと登録番号から成り立っています。(一部の地域ではそれに加えて車種を表す記号などが付加されることもあります)たとえばここラジャスタン州は「RJ」が州を表すコードとなります。ところがこの車のナンバーは「RRJ」と通常より「R」がひとつ多いのです。
その理由に関してはそこに立ってる男に聞くことができませんでしたのでよくわからないのですが、いずれにせよマハラジャゆえの特権的コードであろうかと推察されます。もしかしたらこの車に乗っていれば、身分証明書がなくてもR指定の映画を見られるのかもしれません。
そしてもうひとつ、ナンバープレートの上にあるエンブレムをご覧下さい。
いかにもマハラジャ然とした顔が太陽のコロナを思わせる背景と組み合わされ、もうこれを見ただけで「おお、マハラジャ様のお通りだ」ということが一目瞭然といったデザインになっております。
これは首相や州知事などいわゆるVIP専用車に付けられるのと同様のエンブレム(赤地に金の打ち出し模様)で、これがあれば普通のナンバープレートはなくてもいいようなのです。まさしく黄門さまの印籠のような効果があるわけです。
とまあ車の紹介はこれくらいに致しますが、とにかく今まさにマハラジャがお出かけになられるところということで、できればそのお顔を拝見したいと思いしばらく待ったのですが、なにをもったいぶっているのかなかなか出て来ないのです。
私はこの直前まで博物館を実に熱心に見学しておりましたので、もう体はクタクタ、喉はカラカラ、頭はカラッポという状態でした。
そこでここでぼぉーと待つのではなく、外のテラスでお茶でも飲みながらマハラジャの「出待ち」をしようと思ったのであります。
*この写真は上から見たテラスの様子です。 白いパラソルがあるところがそうです。
はい、テラスに着きました。
ここはシティ・パレス本館の真ん前なので、周りはきれいに整備されていてなかなか良い雰囲気です。
しかもまだ時間が早いためかテラスには他に客がおらず、ゆったりとした時間を過ごせそうです。ところがメニューを見てビックリです。
げげっ、ずいぶん高いんだな・・・ここ。
そこで私は、
どうせ何を頼んでも高いなら、いっそのことビール飲んじゃお!
と、一杯220ルピー+20%の税=264ルピー(約528円)というバカ高いビールで、シティ・パレスに乾杯したのでありました。まっ、今日は日曜だし、空は青いし、せっかくの観光地だし、ビールの一杯や二杯や三杯くらいは飲んだってバチは当たらないでしょう、ねっ。
ぷっはぁ~、たまらんねえ~、この喉越し!
ん?
なんか白い車が走って行くな・・・・
まっ、いーか、そんなのどうだって。
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