〔当時のメモより〕 *金額に関しては当時1ルピーが約2円だったので、ただ単に2倍にすれば円価になります。 2010年5月8日(土) ジャグダルプル 晴 33℃ 目が覚めたら6時を過ぎていた。 ラッキーなことに車はいつものインディカではなくシボレーの大きいやつだったので、乗っていても楽だった。 作業場は先日の閑散ぶりとは打って変わり、職人も3人に増え、すでに炉には火が焚かれていた。 しかしここからが長かった。 材料となる真鍮は古い壺などを砕いたものを使う。ちょっと感動。 とにかくどの作業も大いに興味を引かれ、ほとんど立ったまま見つめ続けた。 午後3時過ぎ、いよいよ溶かした真鍮を型に流し込む作業。 その後、一つを水で冷やし、型出しも見せてもらった。 ジェイデブ氏にお礼を言う。 ヤシ酒のサルフィで乾杯!! |
【以下の解説は2013年3月11日のものです】
〔以下メモに解説を加えて〕
2010年5月8日(土) ジャグダルプル 晴 33℃
目が覚めたら6時を過ぎていた。 いよいよ今日はダイキャストの作業を見に行く日。
「ダイキャスト」とは鋳物のこと。念願の金属を溶かして型に流し込む作業が見られるのである。
ラッキーなことに車はいつものインディカではなくシボレーの大きいやつだったので、乗っていても楽だった。 スピードも出るので80~90kmくらいでぶっ飛ばし、1時間ほどで到着。
どういう事情で車が変わったのか知らないが、とにかく同じ料金でグレードが上がったので文句はない。ドライバー氏はいつもと同じ人だが、彼もまたいつもより誇らしげに運転しているように思えた。
作業場は先日の閑散ぶりとは打って変わり、職人も3人に増え、すでに炉には火が焚かれていた。
先日ここを訪れた時は特に作業らしきものが行われておらず、なんの活気もなかったが、さすがに今日は気合が入っている。
もうひとつの炉にもいくつもの型が並べられ、すでに準備万端といった感じ。
炉のひとつは金属を溶かす坩堝が熱せられている。そしてもうひとつの炉では型を焼き、中の蝋を飛ばすのである。
しかしここからが長かった。 なにしろ燃料が薪のため火力が弱く、何度も足しながら2時間以上燃やし続ける。想像以上に大変な作業だった。
到着した時はすでに火が焚かれていたため、すぐにでも始まるのかと思ったが、どっこいそうは問屋が卸さなかった。 燃料には石炭も用意されていたが、おそらく薪に比べて高価なためだろう、それは最後の最後に少量投入されただけだった。
材料となる真鍮は古い壺などを砕いたものを使う。ちょっと感動。
溶かす真鍮はインゴット(地金)などではなく、実際に使われていた古道具を砕いたものだったので嬉しくなり、と同時にそこにはなにか神聖なものを感じた。それらを坩堝に投入し、一番最後に砕かれていない小さな壺をひょいっと投げ入れたのがまたなにか意味のある儀式のように思えたので、その理由を聞いてみると、「材料がちょっと足りないかなと思ったから足した」との答えでがっかりする。
とにかくどの作業も大いに興味を引かれ、ほとんど立ったまま見つめ続けた。
職人たちは火の番をしながらもたまに腰掛け休んでいたが、私は興奮のあまりじっと座っていられず、作業場のあちこちをうろうろしていた。
途中で貰った水(生水?)がすごくおいしかった。
生水には日頃から注意をしていたが、この時はそれがミネラルウォーターか?などとはとても聞けず、エイヤッ!で飲んだ。火に照らされた体は水分を欲しがっていたようで、実にうまかった。
午後3時過ぎ、いよいよ溶かした真鍮を型に流し込む作業。 なるべく邪魔にならないようにしながら間近でしっかり見た。
坩堝で溶けた金属をすくい出し型に流し込む作業は、当然危険が伴う。日本なら最低でも安全靴にヘルメット着用のところだろうが、職人も私もサンダル履きだった。
その後、一つを水で冷やし、型出しも見せてもらった。
通常は自然冷却なのだが、時間のない私のためにひとつ水冷して出して見せてくれた。さすが、細部にまできちんと金属が流れ込んだすばらしい作品だった。
ジェイデブ氏にお礼を言う。
今回の季節外れの鋳込み作業の実施に、深く深く感謝する次第であります。 本当にありがとうございました。
ヤシ酒のサルフィで乾杯!! 今日はとても充実した日だった。
私が作業したわけではないが、それでも一日火に照らされ続け立ち続けてずっと真剣に見ていたので実に疲れた。そしてその疲れがなんとも心地良いのであった。