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インド :それにしてもこの根性には恐れ入るのであります・インドの再生技術または再生根性

         
  • 公開日:2006年12月8日
  • 最終更新日:2022年6月24日

前回はインドの修理方法というものに比較的否定的なことを書きましたが、今回はその逆です。

あれはハイダラバードと双子都市の関係にあるシカンダラバードに行った帰り道のことでした。

行きはバスで行ったものの、帰りはあれこれ見ながら1時間半ほど歩き回り、ようやくフセイン湖畔に出ました。

現在地の目印ともなるフセイン湖に出たことで少し安心し、その場で一息入れていると、目の前を3人の男たちに押された車がゆっくりと通り過ぎて行くではありませんか。どうやら車が動かなくなってしまったようです。最近の日本ではあまり見かけなくなったそんな光景が、珍しくもあり懐かしくもあり、気が付けば思わずカメラを向けてシャッターを切っていました。
と同時に、車を押していた男たちもそれに気付いたようで、なにやら私に向かって叫んでいます。

これはちょっとまずいかも・・・文句を言われて金でも巻き上げられるのかもしれないぞ。

そんなことが脳裏によぎりましたが、私はなるべく友好的な態度を示しつつ、なおも車を押し続ける男たちに近づいて行きました。
すると男のひとりがこんなことを言うのです・・・

「お前も押せ」

・・・

思いもよらない言葉に戸惑いつつも、写真を撮らせてもらったお礼のつもりで、私も車の後ろに回りぐいぐい押し始めました。

道は少し登り勾配になっているようで、男4人がかりでもなかなかどうしてこれがあーた、前に進めるのは大変なのでありますよ。
ひいひい息を切らせながらも男たちと話しをすると、この車は今しがた買った中古車だということが分かりました。
つまりまあ早い話が、廃車同然の動かない車を買って、人力で家まで押して帰り、そこでじっくり直そうというわけなのです。
そう言われてあらためてその車を見れば、元クリーム色のくすんだボディーには至るところに錆が浮き、リアウインドウも無いという状態です。こんなポンコツを直して乗ろうなんて、さすが見上げた根性です。日本ではもはや鉄屑同然でしかない物体が、ここではまだまだ宝物のような扱いを受けているのです。インド人えらい!

やがて道の勾配はピークを越えたのか、二本の腕にかかる抵抗が軽くなりました。
ちょうどバス停に差し掛かったこともあり、ここが潮時と私はそこで男たちに別れを告げました。

だいぶ待って乗ったバスでしたが、男たちの押す車を追い越すまでにはそれほどの時間はかかりませんでした。
私は追い越しざまに男たちと車を振り返り、そして今度は男たちが向かうであろう前方の街に目を転じました。

ああ、これからあの車はあの街のどこかで修復されて行くんだなあ。

そんなことを考えると、なぜか小さな幸福感を覚える私だったのであります。

インドのショール