まだアジアが列強諸国の植民地だった頃を舞台にした映画なんかを見ますと、偉い人の部屋の天井には、葉っぱを編んだような大きな四角い板が吊るしてありまして、そいつを部屋の外に居るシモベが紐で引っ張って揺すり、風を起こしているというシーンを見ることがあります。(今思い出せるのは、「戦場にかける橋」での早川雪舟演じる斎藤大佐の部屋が、そんな仕掛けになっていたなあというくらいですが、他にもいろいろあると思います)
それから時は流れ、今では部屋の外で日がな一日ゆっさゆっさと紐を引き続ける人はいなくなりました。(たぶん)
そしてそれに代わって登場したのが天井取付型扇風機、通称「天井扇」、シーリング・ファンなのであります。通常天井扇のスイッチは壁に付けられていて、オン/オフのスイッチと、回転数を制御するダイヤルがあります。
回転数制御のダイヤルは、無段階方式のものと、あらかじめいくつかの設定(弱、中、強とかです)があるものとがありますが、やはり無段階方式の方が優れものです。なにしろそよぐ程度の微風から、音を立てて強風を発生し、あまつさえこちらに向かって飛んでくるのではないかと思えるほどの高速回転まで、自由自在のお好み次第にできるのです。
ただ、この天井扇はちょっと回り始めの悪いものもありまして、スイッチを入れても羽根が回り出さず、かすかにモーターの唸る音だけが聞こえるなんてものもあります。
そんな時は一旦スイッチを切り、また間髪入れずにスイッチを入れるということを何度か繰り返してみましょう。そうするとゆっくりと回り始めたりなんかします。 これは車のタイヤが穴に落ちてしまったときの脱出方法の応用です。
天井扇のモーターはそれなりに羽根を回そうと努力をしているのですが、羽根の抵抗に対してちょっと力が足りないわけですよ。そこで一旦電源を切ると、モーターは回転方向とは逆方向に微妙に戻るわけです。そうして戻り切ると、今度はその反動で回転方向にまたもや微妙に戻ります。その二度目の「戻る」ところを見計らって再びスイッチを入れ、突入電流の勢いを乗せて一気に羽根を回してしまうのです。
ほ~ら、回り始めました。めでたしめでたし。
上の写真は、ゴア州はアンジュナビーチにほど近いゲストハウスの部屋です。
外には椰子が生い茂り、その葉を揺らす天然の風も吹いては来るのですが、不思議なことにこの天井扇の人工の風が、またなんとも南国の雰囲気をかもし出してくれるのであります。
そんな風に吹かれながら、ベッドに寝転がっていると・・・ふぁぁ~あ・・・
おやすみなさい・・・
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