店先に鶏の玉子をたくさん積んであるこの店、さすが「エッグ・センター」と名乗るだけのことはある。ただ軽く30℃を超える気温の中に、こんな風に玉子を山積みにしていて大丈夫なのかよ?と心配にもなる。なんせ日本では冷房の効いたスーパーで買ったりするもので、本当の「常温」状態が玉子にとって良いのか悪いのかよくわからないのである。
文明とは便利なものだがその分人間から知恵を奪うところもあり、玉子の善し悪しは表示された消費期限(生産日?)を目安とし、保存は冷蔵庫でという生活をしていると、インドでこんな光景を見た時に、玉子はどうやって選ぶのかとか、保存はどうするのかといったことを、実はまったく知らないのだということにあらためて気づかされる。
そこで昔の日本人はどうしていたのだろう?ということだが、これは明治の文筆家村井弦斎の著書「食道楽(しょくどうらく)」に書いてある。
まず玉子の見分け方は、
「先ず大体からいうと玉子の皮がテラテラ光って光沢のあるのは古い証拠で、少しも光沢のないちょうど胡粉を薄く塗ったようなのが新しいのです。玉子は古くなるほど胡粉のようなものが除れて段々光って来ますから光ったものを買ってはなりません」
とある。
なるほど・・・
次に玉子の保存方法は、
「第一には新しい玉子と古い玉子と一所に置いてはいけません、一つでも古い玉子が交って腐敗し始めると直ぐに外の新しいのへ伝染して皆んな腐ります。それから一つ一つ別々に離してお置きなさい。箱の中ならば籾の中へ横に埋めておくのです。第二は決して竪に置いてはいけません、必らず横にしておくのです。竪にすると今お目にかけたカラザという紐が黄身の重みで切れますから早く腐ります。第三に一番長く保存する法は地を掘って下へ灰を敷いて玉子を一つ一つ離して横に置いてその上へ灰をかけておくのです。産みたての玉子を中の黄味が動かないようにそうっと横に持って来てその中へ置いて少しも手を付けずにおくと一年過ぎても腐らんといいます」
なのだそうだ。
しかし現在よく聞く方法とはちと、いや、だいぶ違うようである。
そこで農林水産省の示す「卵の扱い方」というのを見てみると・・・
保存に関しては、
「買い物から帰ったらすぐに冷蔵庫に保存しましょう。冷蔵庫では卵のとがった方を下にして保存しましょう」
とある。
ふ~む・・・やはり玉子はヨコにしないでタテに置くのだよなあ。
で、結局冷蔵庫に頼るわけだな。まっ、普通はたいていの家にあるからなあ。
それから玉子の見分け方は、
「卵を割ったときに、卵黄と卵白が盛り上がっているものが新鮮です」
かあ・・・
でもそれじゃ外見からじゃわかんないじゃん!
結論、
インドで玉子を食べる時は、よく火を通して食べましょう。
でもって、
やっぱ私は文明社会でしか生きられん。
っつーことなのである。
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