私の幼馴染(5歳くらいから)にMくんというのがおりまして、何の因果か今でも親交があり、それどころかたまに一緒にインドに行ったりなんかしております。
で、私たちが小学校の時の卒業文集に「将来の夢」というのがありまして、そのMくんはそこに「プロフッシュナル野球選〔原文ママ〕になりたい」と書いたのです。
まあ、おそらく彼は「プロフェッショナルな野球選手になりたい」と書きたかったの(もしくは書いたつもり)だと思うのですが、その頃の子どもは素直に「プロ野球の選手になりたい」とか書くわけですよ、ふつーはね。
それをMくんはどこで覚えたのかなまじ難しい英語を知っていたのでちょっと気取って書いてしまい、しかもその書き間違いに気づかぬまま印刷に回されてしまったために、その後長らく(今でも)仲間内では「野球選」とあざけり笑われたりするのであります。
とまあ、そんなMくんとデリーのインディラ・ガンディー国際空港の出発ロビーにいた時のことです。
インドの旅ですっかり疲れ果て、交わす言葉もなく椅子に座る私たちの耳に、こんなアナウンスが聞こえてきたのです。「○○○(便名) ムンバイ ジャニオアリー ヤキューセン」
その時私はかなり疲れていたのですが、「ん? 『野球選』?」と反応しましたね、すぐに。
そしてひとつ飛ばした席に座っているMくんの方を見ると、彼はちょっと気まずそうにこちらをチラチラと伺い見ているではありませんか。
そこで私が「今『野球選』って言ったよな?」と問いかけると、Mくんは「うん、言った・・・」とちょっと残念そうな表情で答えました。
それは何度目かのインド旅行だったのですが、それまで私はその「ヤキューセン」という言葉にまったく気づかずにおりました。でもその言葉を早くも小学校の6年生で使っていたMくんは、だいぶ前から気づいていたそうで、それを私に気づかれるのが本当に嫌だったようなのです。
なんだよそうだったのかよ、まったく水くさいなあ・・・この野球選があ!
とまあ、このインドの空港で流れる「ヤキューセン」のアナウンスの話は、私にとってはすごくオモシロイ話なのでありますが、いかんせんあの卒業文集を知らない人にはさっぱりなんのことかわからないわけで、残念ながら今まであまり話せなかったということなのであります。
あー、スッキリした。
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