チャッティースガル州ジャグダルプルに到着したのは、すでに陽も大きく傾いた午後5時半近くということで、私は少々焦っていました。
なにしろここでのホテルと言えば、ガイドブック(ロンリープラネット日本語版)にたった一軒載っている「ホテル・レインボー」というところだけなのです。それどころかそもそもチャッティースガル州自体に関しても、あの分厚い本の中のたったの3ページ半だけの記述しかなく、町の地図などもまったく載っていないという心細さなのです。
そんなわけで目指すはそのホテル・レインボーとなるのですが、もしそこが満室だった場合のことを考えると、できるだけ早く行動を開始し、暗くなる前には宿を決めてしまいたいところなのです。
ところが客引きのあんちゃんに誘われて乗ったオートリキシャは、できるだけ相乗りの客を引こうとがんばっていて、なかなか出発してくれないのです。
しかしここで少しでも不安げな表情をしたり、焦る素振りなど見せてしまうと足下を見られてしまいます。
なのでここはいっちょ優雅にふんぞり返り、夕日に照らされた木々の梢などを目を細めて眺めてしまうのです。結局相乗り客はまったく捕まらず、ようやくオートリキシャは駅からまっすぐに伸びる普通ならメインロードという位置づけになるであろう道を走り出しました。同じ列車から降りて来た人たちをゆっくり追い抜きながら、助手席(正確には運転席の横に無理やり座る助手)のあんちゃんが身を乗り出し、次々に「乗らないか?」と声を掛けて行きます。
なにしろこの街に客車が到着するのは毎日上下一本ずつなので必死なのです。
助手のあんちゃんの声掛けは実らず、私たちだけを乗せたオートリキシャは15分ほど走り、少し人通りの多い場所に出たなと思ったらすぐに狭い路地に入って行きました。
まさかこの町で一番(であろう)のホテルが、こんな路地裏にあるはずがないと一瞬身構えた私でしたが、オートリキシャは小ぢんまりしたホテルの車寄せに入って止まりました。
なるほど、確かに「Hotel Rainbow」と書いてあります。あとは部屋が空いているかどうかですが、祈るような気持ちでフロントに行くと、はたして部屋はあるとの回答、ここでようやくホッとしたのでありました。
部屋はエアコン、テレビ付きのツインで一泊825ルピー+5%の税で合計866ルピー(約1733円)でした。ここにはしばらく滞在しますのでちょっと予算オーバーといえばそうなのですが、部屋の広さとベッドの大きさを考えれば決して高くはないと思います。
とにかく今日は朝も早く、また鈍行列車での長旅でしたので、熱いシャワーが体にとても気持ちよく、さらにはルームサービスで頼んだビールもよく冷えていて、なかなか満足なジャグダルプルの第一夜となったのでありました。
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