ここ南インドケララ州のコチ(コーチン)の沿岸部には小さな島が点在し、その間が入り組んだ水路のようになっています。
そんな場所に住む人たちにとっては、当然どこに行くにも舟を使わなければなりませんので、渡し舟が日常の足になります。
この写真の舟もそんな渡し舟のひとつなのですが、ご覧のように小さな木の舟には、人だけではなくバイクなども乗っております。本当になくてはならない交通手段なのです。さて、このあたりの水路はあまり水深がないようで、渡し舟の船頭は長い棒で水底を突いて舟を進めます。つまり「棹(さお)さす」という言葉のそのまんまなわけです。
もっと大きな船になりますと、水底に突き刺した棒を持ったまま船べりを前から後に歩いて船を進めます。つまりそれは実際には歩いているのではなく、船べりを蹴って船の方を移動させているわけで、その人はその間移動をしていないわけですね。
このように水底を突くという方法は、水を漕ぐより強力で確実な推進力を得ることができます。
私もその昔、公園の池で手漕ぎボートに乗ったときに実際に経験しました。しかも水を漕ぐのと水底を突くのとその両方を比較できたので、両者の生み出す推進力の違いが実に良くわかりました。
その公園のボート池は水が濁っていましたので、一見しただけでは水深がわからなかったのですが、実はとても浅かったのです。そのことはボートを漕いでいるときに、何かの拍子にオールを立て気味にして漕いだときに、オールの先に泥が付いて来たことで露見したのです。
水深があまりなく、しかもオールが直に水底に到達すると知った私は、オールを可能な限り立てて漕いでみたのです。
するとオールには水をかく時とは比較にならないほどの手ごたえがあり、オールを手前に引き寄せる時にはボートが一瞬浮き上がるほどだったのです。とてもすごいのです。
えーと、話が横道にそれてしまいましたが、とにかくなかなか合理的な舟の漕ぎ方だということを言いたかったわけです。
最後にみなさまに一言ご注意を申し上げておきます。
ボート池ではたとえ水深が浅くても、オールで地面を漕いではいけません。
なぜなら、夢中になって水底を漕いでいると、プラスチック製のオールの先っちょが折れてしまい、ボートを返すときにまずいのです。
みなさん、ルールはしっかり守って、水の事故を未然に防ぎましょう!
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