前回は大使館はいざって時には心強い味方であるというお話を致しましたが、今回はその一例をご紹介致します。
時は2002年6月5日、滞在中であったニューデリー市内のホテルに戻ると、フロントで一枚の紙を渡されました。
なんだろ?と見てみれば、それは在インド日本国大使館からファックスで送られて来たもので、冒頭に一発「大至急」とあり、内容は「やむを得ぬ事情により滞在される方を除き、国外に退避することをおすすめします」というものでした。
実はこの時、インドと隣国パキスタンとの緊張が非常に高まっており、核攻撃の可能性もあり!という危機的状況に陥っていたのであります。
で、その通達には「大使館に連絡せよ」とも書いてありましたので、私はすぐに所定の電話番号にダイヤルしました。
すると応対に出た係官から、私の滞在スケジュールと帰国便の確保の有無を問われました。なんでも日本政府が国外退避用のチャーター機を用意するので、もし帰国便が確保できていない場合はそれに乗ったらどうかということだったのです。
その時私の脳裏には、「これは恐ろしいことだ」ということより、「政府チャーター機というのは総理大臣が外国を公式訪問する時に乗る、あの桐の紋章付きの政府専用機かしらん?それだったら乗ってみたいなあ」などという、ちょっと不謹慎な好奇心が湧き上がっていたのですが、考えてみりゃあそんなことはなく、ただ単に「政府が予約して飛ばす」だけのふつーの飛行機なわけです。しかも私はそのチャーター機の発着する前日のエア・インディアを確保して(といっても安いチケットなので初めから決まっていたのですが)ありましたので、結局チャーター機に乗ることも、空港でタラップの上から観衆に向かって手を振ることも、機内で今後の国会運営について話し合うということもなかったのであります。
でも日本国大使館はこんな一小市民である私にまでお声掛けを下さり、本日は誠にエンロはるばるどーもありがとうございますといった心境だったのは事実なのであります。ありがとう!日本大使館!
ただ、この時はまあいいホテル(中の上くらいです)に泊まっていましたのでこうして連絡をもらえたのですが、現在よく利用するクラス(中の下くらいです)のホテルだった場合、はたしてちゃんと連絡が来るかというギモンも残るのであります。
まあとにかく平穏無事に過ごせ、大使館のお世話にならずに済むことが一番なのではあります。
みんな、仲良くしろよ!
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