browser icon
You are using an insecure version of your web browser. Please update your browser!
Using an outdated browser makes your computer unsafe. For a safer, faster, more enjoyable user experience, please update your browser today or try a newer browser.

2005年3月7日:現地発信メルマガ「インドからこんにちは」17

         
  • 公開日:2005年3月7日
  • 最終更新日:2022年8月5日

今日もまたまたインドからです。

スギ花粉吹きすさぶ日本から脱出して早1週間以上が過ぎ、元気にやってる私であります。

デリーの気温は日中で30度まで上がるかどうかという大変過ごしやすい気候でありまして、街中の公園などにはきれいな花が咲いているという、まるで天国のような状態なのであります。

昨日は日曜日でしたので、公園にはたくさんのインド人(なにも「インド」はいらないか)が出ておりました。またそんな人々を目当てに、移動販売も出ていて、お祭りのようなにぎやかさでありました。

実際この3日間(3/5~3/7)は何かのお祭りのようで、こともあろうかドライデイなのです。けしからん!

酒屋はすべて閉まっており、いとしいビールを買うことができません。

ああ! なんて不幸な私。

まあ少しお金はかかるけどホテルのルームサービスもあるし、今日はあきらめて市価の3倍以上のビールで我慢するかとホテルに戻ると、従業員が私に耳打ちしました。

「今日はドライデイなんですが、ビールをお持ちしましょうか?」

おお! なんてラッキーな私。

でも待てよ。こういうときは足元を見られるものだよな・・・

まずは値段の確認が必要でありましょう。

「いくらだ?」

「80ルピーです」

おお! ルームサービスでは100ルピーもするビールが、なんと闇取引で80ルピーとは!

なんて私は幸運に恵まれているのだ!

持って来い持って来いと私は言い、イエッサー!と従業員は言いました。

そして5分後、ちゃんと冷えたビールが部屋に届けられ、私はその日も仕事の疲れを癒すことができたのであります。

いやあ、ビール最高!

飲めさえすれば、たとえ1年前の製造年月日でも構うものか!

*ラベルの刻印は「2004.02」となっていた。

さて、そんなビール好きの人間を、ビール無しで過ごさせようと企む、ジャイプールのホテルの話の続きを致しましょう。

持込のビールは冷えていない。ルームサービスのお酒もない。
そんな状態では、おちおちゆっくり眠れないのは明白でありますので、私は疲れた体を引きずって、ロビーまで降りました。よろよろ。

ロビーに降りた私は、フロントにいた男に、

「この近くにノンベジ(肉食)のレストランはないか?」

と、さも私は肉も食うし、酒も飲むんだよ!なろー!といった主張をしつつ尋ねると、フロントの男は親切に道順を教えてくれました。
なにもそんなに力んで聞くことはなかったのです。

ホテルを出て教えられた道順(たぶん)に歩いて行くのですが、ぜんぜんそれっぽいレストランは見当たりません。
失望感も手伝って、私はもうふらふらでした。
するとはるか前方に「BAR」の文字が見えるではありませんか!

おお!砂漠にオアシスを見た!

先ほどのふらつく足取りとは見違える程の勇ましさで、「BAR」めがけて突進する私だったのですが、たどり着いた看板のところには店らしいものはなにもなく、ただ普通のオフィスがあるだけです。

はて?めんような?

なぜそこに看板だけが存在していたのかはナゾなのですが、私はそんな謎解きをしにきた銭形平次ではなく、酒が飲めれば少しくらいの金なら投げてやるぞっていうヒトなので、がっくり肩を落として帰途に着きました。

それでもまだ諦めきれない私は、もしかしたら曲がる方向の「右」と「左」を間違えたのしれないなあと思い、先ほど左に曲がってきた角を、もと来た方向に曲がらず直進してみました。

その道はホテルの裏手に大きく回りこむ道だったのですが、進むにつれもうレストランがあるような雰囲気ではなくなってしまいました。
なにしろ道端の歩道では、直火でなにやら煮炊きをしてるヒトビトがいて、さらにそのすぐ横の壁際は完全にトイレと化し、明らかに野獣のものではないとわかるウ〇コなどが落ちているのでした。
しかしこういうときはあまり過敏に反応してはいけないのです。
そうしたウ〇コなどにびびっていると、それを見て取った周りのヒトビトが面白がってそのウ〇コを投げつけてこないとも限らないからです。
人間、とかくヒトの嫌がることをするのは面白いものですから。

とにかくもうどこかで肉を喰らい酒を飲み、女をはべらせ贅沢の限りを尽くすというのは無理なようでした。

部屋の鍵を受け取るとき、フロントの男の目がちょっと気になりましたが、かなりの時間歩き回っての帰着だったため、フロントの男は「ちゃんと食べてきた」と判断したであろうと思いました。なにもそこまで人の目を気にすることもないのですが・・・

しかし、ここでも捨てる神ありゃ拾う神ありでした。

部屋を出る前に冷蔵庫の温度調節のダイヤルを、今度は「7」にセットしておいたのですが、これが「正解」だったのです。

まだビールは完全には冷えてはいませんでしたが、なあに、冷凍庫に突っ込んでおけば風呂に入っているうちに少しは冷えるでありましょう。
これでなんとか今夜も眠れそうです・・・

とまあそんなわけで、ジャイプール一泊目は持ち込みビールで事なきを得たのですが、二日目はどこかで仕入れてこなければなりません。
デリーなら何軒か酒屋を知っていますが、ジャイプールでは勝手が違います。

そこで取引先の人に聞いてみました。
どうせ誰かが私をホテルまで送り届けてくれることになっていましたので、その途中で買おうという算段です。

教えられた店は、その会社のすぐ近くでした。

車を運転してくれることになった青年が一緒に行ってくれたのですが、その酒屋のカウンターの中には目つきのあまりよくないオヤジが二人いて、私の欲しかったキングフィッシャーはないと言います。

一般的な銘柄が置いてないなんて変だなとは思ったのですが、まあないものは仕方ありません。

代わりにオヤジが出してきたビールはキャッスルという銘柄のもので、確かにキングフィッシャーより格上のものです。
値段を聞くと60ルピーとのことでしたので、30ルピーのキングフィッシャーに比べて高いなと思いましたが、まあそれも仕方ありません。

私は、翌日のデリー帰着も夜になる可能性があるので、その分も仕入れてしまおうと5本買うことにしました。

財布から100ルピー札を3枚出し、カウンターのオヤジに手渡しました。
オヤジはそっぽを向きながらそれを受け取ったのですが、それが間違いでした。私は初歩的なミスを犯してしまったのです。

私が帰ろうとすると、そのオヤジがこう言いました。

「代金は300ルピーだよ」

私は、いまさら何言ってんだ?と振り返りカウンターの上を見ますと・・・

そこにあるのは、1枚の100ルピー札とその下に隠れるように置かれた2枚の50ルピー札でした。

あっ!やられた・・・

私は札の種類ごとに財布に収めているので、そんなミスをすることは考えられないのです。ましてブルーの100ルピー札とピンク系の50ルピー札を間違えるわけなどありません。

つまりそのおやじはわざとそっぽを向いて札を受け取り、すばやくカウンターの下で札をすり替え投げてよこしたのです。

これはよくある手口で渡す方も充分注意しなければならないことなのですが、今回は取引先の人間が間に入っていたこともあり、完全に油断していました。

こうなると抗議するだけ無駄です。
そんなことをすると言葉で勝る酒屋のオヤジは「この日本人が金をごまかそうとした!」と騒ぎ立てるでしょう。
それに間に入ってくれた青年の手前もあります。もう諦めるしかないでしょう。

憤懣やるかたない私でしたが、いましがた財布から出したにしてはシワが目立ちすぎる50ルピー札を受け取り、代わりに100ルピー札を2枚オヤジに手渡しました。そして今度はちゃんとオヤジの前で確認しながら、しっかり渡しました。

そんなことを知らない青年は、5本のビール持ってくれながら嬉しそうにこう言いました。

「あいつら最初は80ルピーって言ってきたんだけど、交渉して60ルピーになったんだよ。うちの会社でもよくあの酒屋から仕入れるからさ」

そんな青年の言葉を聞くと、ああ、あの時もめなくて本当によかったと思うのでありました。

すべては私のいやしい酒飲み根性から出た事ですから。

でもやめられないんだよなあ、ビールとインドは・・・

さて、メールでいくつか質問も頂いておりますので、明日はその辺にお答えしながら進めていきたいと思います。

あっ、今日までがドライデイなのですが、今日の分はすでに今朝ホテルの従業員から買いました。安心安心。

ビールの在庫は心の余裕!

それでは、また明日!

次のページへ行く目次へ行く前のページへ行く

ページのトップへ戻る