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ハチクイがビー・イーターならキングフィッシャーはビア・ドランカーと言うんかい:インドの野鳥たち

         
  • 公開日:2014年7月11日
  • 最終更新日:2022年7月25日

幽霊の正体見たり枯れ尾花

びくびくしていたらススキを幽霊だと思ってしまったという言葉だが、人間恐怖心に限らず何かを思い込んでいると、違うものでもそう見えてしまう。昔パチンコにはまっていた友人が、葬式の花輪を発見し「おっ!新規開店だ!」と小躍りした光景が忘れられない。たった一色の違いではあるが、あれほど漂う雰囲気が違うというのにである。

で、インドの話であるが、私はインドの自然豊かなところに行くと、ついキングフィッシャーを探してしまう。
キングフィッシャーというのはカワセミの一種で、とてもきれいな鳥である。
余談だがインドにはその鳥の名を冠したビールもあり、私はそれもよく探す。
しかもどちらかのキングフィッシャーをひとつだけ取れと言われれば、迷わずビールの方を取る。
まあ花より団子ということなのだ。

でも今回はビールはあくまでも余談であり、鳥の話をするのである。

グジャラート州のカッチ地方は自然の豊かなところであり、鳥もたくさんいる。
なのでキングフィッシャー(鳥の方ね)好きの私は、当然常に「キングフィッシャー、キングフィッシャー・・・」と心の中で呟きながら、木の枝や電線などを眺めていた。

そしたら・・・

いた!
キングフィッシャーだ!すかさずカメラを向けてシャッターを切ったところ、その日同行していたガイド氏が近寄って来て、「あー、あれはビー・イーターですね」などと言うのである。

なに? ビー・イーター?

直訳すれば「蜂喰い」となるが、実際蜂を捕えて食べ、和名もそのまま「ハチクイ」と言うらしい。なるほど、よく見たら確かにキングフィッシャーとは色が違う。キングフィッシャーはコバルトブルーだが、こいつはグリーンだ。
でも年寄りなどは緑色のことを「青」とか言うし、ビーチのことを「ピーチ」なんて言ってしまうこともあるので、大きな心でとらえればたいした違いではない。

本当にこれはキングフィッシャーではないのか?

などとまだ半分ガイド氏の言ったことを信用していない私であったが、なんとそのあとすぐに本家のキングフィッシャー様がご登場されたことで、その容姿の違いが白日の下にさらされた。なるほど、こうして見比べれば全然違うじゃないか。

と、私の疑問はまさしく雲散霧消、いや、キングフィッシャーだけに、ビールの泡のように消えていったのであった。
めでたしめでたし。
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