インド西海岸の中ほどにポツンとある小さな州ゴア。
ここには美しいビーチがたくさんあり、かつてはヒッピーたちがそこら中でごろごろしているというイメージが強かったのですが、今はごく普通の旅行者がビーチとシーフードを目当てにやって来るのであります。
ということで、どちらかといえば「ごく普通」の部類に入る私も、ムンバイから夜行列車に11時間弱揺られてやって参りました。
とにかくゴアにはビーチリゾートがたくさんあるのですが、私は9年前に滞在したアンジュナ・ビーチを再訪しようと、最寄駅であるこのティビンで下車しました。
この駅はいかにも田舎の小さな駅といった感じなのですが、さすがに外国人観光客などもどっと降り、中には花束を持って出迎えられている旅行者なんかもいたりします。きっと高級なホテルを予約しているか、ツアーで訪れた人たちなのでしょう。そんな迎えのない人は、ここから自力でビーチを目指さなければなりません。
もちろん私にも迎えは来ませんので、まずはバスでマプサという街へ出て、そこからアンジュナ・ビーチ行きのバスに乗り継ぐつもりなのですが・・・
あれ?バスが見当たりませんねえ。
なんと駅前の広場にはタクシーとオートリキシャしか停まっておらず、バスが一台も見当たりません。見れば他の外国人たちはタクシーのチケット売り場に並んでいます。
どうやらここのタクシーとオートリキシャはすべて先に行き先を決めてチケットを買う「プリペイド式」になっているようです。この方式は外国人だからといって料金をボラれる心配がないので、なかなか良いシステムです。
そこで私もチケット売り場の横に掲げられている料金表を見て、もし手頃な料金で行けるのなら乗ってもいいかなと思ったのですが、なんとアンジュナ・ビーチまで360ルピー(約720円)くらいかかるようなのです。
うわっ・・・さすがにそんなに出せないなあ・・・
ということで、とりあえず歩ける所まで歩いて見ようと思い、駅からまっすぐに延びる道を、現地の人たちについて歩き出しました。だっていくらなんでもこれだけの人たち全員が家まで歩いて帰るとは思えないのです。ぜったいどこかにバス停があるはずなのです。ないわけがないのです。
それにインドではタクシーやオートリキシャなんてどこででも拾えますので、歩き疲れたらその時点で、さっきの相場を元に交渉すればいいのです。
そんな風に気持ちを大きく持って歩いて行きましたら、ほ~ら、あそこにバスが停まってるじゃあありませんか。まだ歩き始めてほんの5分ですよ、5分。これはあくまでも私の推測ですが、もしかしたらここでは各交通機関の「住み分け」のルールが確立していて、料金が割安のバスはあえて駅前までは行かず、たとえ5分でも歩くのがいやな人や、5分歩けばバス停があるということを知らない人がタクシーやオートリキシャに乗るように仕向けているのではないでしょうか。
バスはそんな私の推測を裏付けるように、あきらかに列車から降りて来た人たちをお待ちしておりましたという感じで、私たち「駅から徒歩組」の乗車が済むとすぐに、マプサ目指して走り出したのでありました。あっ、ちなみにバス賃はマプサまでが10ルピー(約20円)、マプサからアンジュナ・ビーチまでが8ルピー(約16円)でした。
とまあバスはタクシーに比べたらかなりお安い料金ではありますが、所要時間がおそらくタクシーの倍以上(乗り換え時間も考慮すると1時間半くらい)かかりますので、なにを基準に「得」とするかはやはり人それぞれなのであります。
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