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2005年2月18日:パインズクラブ通信 第125号

         
  • 公開日:2022年8月10日
  • 最終更新日:2022年8月20日

暦の上では・・・

2月18日は「雨水」です。

「あまみず」ではなくて「うすい」ですね、ウスイ。

でも中にはそのコトバにするどく反応し、目をきっ!と吊り上げてしまうおとーさんなどもいらっしゃるかと思いますので、あまり「うすい、うすい」と連呼してはいけません。

「雨水」というのは、天から降るものがそろそろ「雪」から「雨」に変わり、草木を芽吹かせていくというような意味らしいのですが、実際はまだまだ寒いです。

そんな冷たい雨の降る中、私はビザをもらいにインド大使館へと行って参りました。

あっ、今簡単に「ビザをもらいに」なんて書いてしまいましたが、本当はそんなに簡単に考えてはいけないんですね、ビザというものを。

なにしろビザは、その国(この場合はインド政府)から「お前はわが国に入ってもいいぞ」という意味でもらう許可証なのであります。

これを普通の生活に置き換えれば、「おれんちに上がってもいいよ」ということになるわけです。

「そんなとこに突っ立ってないでさ、さあさあ、上がんなさい、上がんなさい。えっ、そんなあーた、手ぶらで来てくださればよかったのに、いやいやいや」

みたいな感じなのです。

だから安易な気持ちで「ビザくれよ」とか言ってはいけません。
あくまでもビザは先方様から「いただく」ものなのであり、決してもらえて当然などと思ってはいけないのです。

でも中にはいるんです。ビザくらいくれて当然だろうって態度の人が。

私はすでに何度もインド大使館に足を運びビザを申請してきましたので、そこでいろいろな人を見てきました。

で、中には見るからに態度のでかい人などもいるのです。
たぶんインド人になめられないように、早くも肩に力が入っているのだと思いますが、さすがに日本のインド大使館の人が、ビザ代をぼったりすることはないでしょうし、ぜんぜん関係ないオフィスに連れていかれ、ニセのビザを3万円くらいで買わされることもないと思いますので、まだそんなに身構える必要はないのです。

以前も大学生くらいの若者がビザ申請用紙の「インドでの訪問地」を空欄にしたまま提出したらしく、係の人に「インドでの訪問地はどこですか?」と質問されていました。するとその若者は少しふてくされたような態度で、「まだ決まってないのでわかりません」などと答えておりました。おそらくその若者は、ほーろーの旅を気取っているのでしょうが、そーゆー態度はいけませんね。

これを普通の生活に置き換えれば、「ねえ、今夜のおかず、お肉がいい?それともおサカナにする?」と、妻奈津子が聞いているというのに、「まだ決まってないからわかんない」の一点張りで自らの意思をはっきりさせないのと同じです。
すると妻奈津子はどちらを焼いていいのかわからず、非常に困るのです。台所のガスコンロの前で、フライパンとサカナの網を交互に見つめ、悲しくなって泣いてしまうのです。ああっ、かわいそうな妻奈津子・・・

ですから男なら(女もですが)「あっ、肉がいいな」とか「サカナにして」とか、「よおし!今夜は両方食べちゃおうかな! そして・・・君も」とか、少しキモチ悪いセリフでもいいですから、自分の意思というものを表明することが必要だと思うわけです。

それなのに「わかぁ~んなぁ~い」というような日和見日めくりひよこ頭ぴよぴよ的態度でインドに行っては断じていけないのであります。

それでもやっぱり、現地に行ってから行き先を決めたいというのであれば、一応「ジャイプール」とか「アグラ」とか「バラナシ」とか、そんな有名どころをちりばめておき、あちらに行ってから「あっ、やっぱオレ、もう少しマイナーなところに行きたいな」と方向転換すればいいのです。

このように何事にもホンネとタテマエとか、本家の建前モチばらまき大盤振る舞いさあ拾え拾え!とか、なんかよくわかんないですが、とにかくそういうものがあるのです。

なるべく大使館の係の人の手を煩わせないようにして、早く後ろの人に順番を回して欲しいのであります。

 

*このメルマガの後半へ続く

〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。

*このメルマガの前半からの続きです。

 

さて、ビザ申請の当日は朝から冷たい雨が降っており、一瞬「あー、今日はやめようかなあ・・・」と弱気になったのですが、雨くらいで外出を思いとどまるくらいでは、インドになんて行かれないのです。インドは雨より手ごわいのです。

インド大使館は九段下という場所にあり、その近くには日本武道館、靖国神社、千鳥ヶ淵戦没者墓苑などがあり、全面的に右翼っぽい雰囲気が漂っているのですが、あと1ヶ月もするとその界隈は桜の花で埋め尽くされます。その景観はそれはそれは見事でありますので、もしインド大使館にビザ申請に行かれるのでしたら、桜の開花予想などをよーくお調べになり、それに合わせて行かれんことをお奨め致します。
ただし、インド大使館が「お花見休暇」で閉まっていても、私はなんら責任を負うものではございませんので、桜の花とともに大使館もちゃんと開いているかを事前にお調べになってからお出かけ下さい。

と、いらぬ桜の案内などをしても今は2月、まだ桜は咲きませんので、話を元に戻します。

ビザ申請用の顔写真を撮っていなかった私は、新宿駅構内でスピード写真のボックスを探すのにかなり手間取ってしまいました。
小田急線の構内に1台あるのは知っていたのですが、そこは私が出るべき出口とは逆方向でしたので、敢えてそこへは行かずに道順の途上での発見に賭けました。
しかしそれが失敗でした。

ああいうもの(あっ、写真のボックスですね)は、なんでもないときにはよく目の前に現れるくせに、探すとなかなかないものです。

なんとなく記憶の底で「あそこにある」と思った場所に行って見ると、宝くじ売り場だったりしてがっかりしてしまいます。

結局それ(あっ、写真のボックスですね。あー、注釈入れるくらいなら初めから「写真のボックス」って書けばいいんだよな)を見つけたのは、遠いという理由で避けた小田急線構内のものよりはるかに遠い場所でした。

やっとの思いで出会えた写真のボックスは、非常に頼もしく見え、思わずその白いボディーにほおずりしてしまいたい衝動に駆られましたが、残念ながら時間があまりありません。なにしろ11時までに大使館に入らなければならないのに、もう10時15分を回っているのです。そしてここはまだ新宿なのです。

さっそくボックスの中に入り自動音声に身をゆだねます。

「椅子を調整して、目の位置を横の線に合わせて下さい」

と、あせってる身としてはイライラするくらいゆっくりとしたスピードで機械が話し掛けてきます。

腰掛ける丸椅子は回転させると高さが変わるというもので、私は少し腰を浮かせ、マタのところから手を突っ込むと椅子をグルグル回しました。
そうして何度か調整し直し、最後は背中を丸めることで妥協しました。なにしろ時間がないのです。

「1回目の撮影をします」

と、機械がまたのろのろとした口調で言います。

私は内心かなりイライラしながらも、それが表情に表れないように平静を装い、フラッシュが焚かれるのを待ちました。

バシュッ!

これで1回目の撮影が終わり、続いて2回目に移ります。この機械は二枚写した中で、どちらか良い方を画面で選ぶ方式なのです。
それは親切な機能ではあるのですが、急いでいる身としては何回も撮りたくありません。でも、拒否権はないようです。

機械がまたのろのろと話し掛け、2回目の撮影が終了しました。

しばらくして目の前の画面に2枚の顔写真が現れました。もちろん私のです。
こうした証明写真というのは、たいていの場合自分の予想をはるかに下回る出来の顔が現れます。そしてその時もそうでした。

「あっ・・・寝グセがついてる・・・」

見れば右側の髪の毛が横に突き出ているではありませんか。

画面は「どちらかの写真を選べ」ということの他に「もう一度やり直す」という選択肢もありました。

「でもねえ、やり直しても寝グセは取れないからねえ・・・」

こういうときはもっと悪いケースを想定し、それに比べりゃまだマシかな、と考えて妥協するのが得策というものです。

そこで私は、

「ま、髪に付いていたのが寝グソじゃなくてよかった。ほんとよかった」

と、自分を騙してボックスの外に出ました。

時間はすでに10時20分近くになっています。

写真のボックスは現像作業に入ってるようなのですが、なかなか出てきません。ボックスの横に「スピード写真!27秒!」と大書きしてあるのですが、なんだかもっと長いように感じます。

おい、早くしろ! 表面を手でこすると早く絵がでるぞ!

などと心の中で叱咤激励しても、機械は知ったことではないとマイペースです。

やがて写真は「ぬっ」という感じで唐突に受け取り口に出てきました。
昔の写真ボックスでは「コトン」という感じで横の金属製の柵のところに出て来たものですが、最近のは「ぬっ」となんだかさりげなく禁制品をやりとりするような感じで受け渡しがされるようです。

そこで私もさりげない風を装い、そっと写真を取り出すと、さっとバッグにしまい込み、都営新宿線のホームを目指し雑踏の中に分け入っていったのであります。


とまあ、そんなわけで大使館への到着は締め切り時間のギリギリとなってしまったのでありますが、なんとか無事ビザの申請もでき、即日の発行と相成りました。

でも私はビザをもらったくらいで安心せず、きちんとヒザを正してインドへと突入するのであります。


今日はオチがこんなですんません!

もうすぐ嫌いな飛行機乗らなきゃならないので、わざと落とさないのです。


では、また来週!


すたたたたた・・・

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