ラーメシュワラムはインド有数の聖地であり、いつもたくさんの巡礼者で賑わうところではありますが、町の規模としてはごく小さな田舎町で、観光名所もたいしてありません。
あらかたの名所を見てしまい、しかしまだたっぷり時間があった私は、ラーメシュワラム島と本土とを結んでいる橋に行ってみることにしました。
ここに来るバスの車窓から見た風景を、もっとゆっくり見たいと思ったのです。この橋「インディラ・ガンディー・ブリッジ(Indira Gandhi Bridge)」は、長さが約2.3kmあり、南インドでは一番、全インド中でも2番目(海に架かる橋という限定かもしれませんが)の長さとのことで、いずれにしてもインドの誇る橋のひとつなのであります。
そんな橋ですから、私と同じように橋の上で車を停めて風景を眺めるといった物見高い人が結構いて、さらにそれをあてにした物売りなんかもたくさん出ていました。さて、実は私のお目当ては橋からの風景だけでなく、この橋の横に平行して架かる鉄道橋の、そのまた途中にあるこの重厚な構造物を見ることだったのです。
先日バスでこの橋を渡った時に車窓から垣間見て、もしかしてこれは可動橋(跳ね橋)なのでは?と思ったのですが、こうしてじっくり観察してみますと、やはり動く仕組みになってるようです。*後日調べてみましたら、やはりこれは可動橋で、今でも月に何度か大型船舶が航行する際に開閉されるとのことでした。
残念ながらこの時は橋の開閉は見ることはできませんでしたが、列車が通るところを見ることができました。
ほら、ラーメシュワラム島側から来た列車が橋に差し掛かりました。この鉄道橋の名称は「パンバン・レイル・シザース・ブリッジ(Pamban Rail Scissors Bridge)と言い、1913年に建造され、長さは2.06Kmとのことです。(現地で見た観光パンフより)
*ラーメシュワラムのある島は通常「ラーメシュワラム島」と呼ばれていますが、本当は「パンバン島」と言うらしいです。
“Scissors” というのはハサミのことですが、”Scissors Bridge” となると「ハサミのような動きをする橋」つまり「跳ね橋」という意味があるのでしょうか?
私の持ってる辞書にはそんな言葉は載ってませんでしたのでよくわからないのですが、まあこの橋が跳ね橋だということはすでにわかりましたので、たぶんそんな意味なのでしょう。もともとこの橋に敷設されていた線路は、幅1mのいわゆるメーター・ゲージでしたが、2007年にインド国鉄の標準軌道であるブロード・ゲージへの変換が完了したとのことで、さすがはインド有数の聖地ラーメシュワラム! 規模は小さくてもなかなかの実力なのです。
しかしまあ、どこまでもきれいな青い海の中を列車が行くという光景は、なかなかの感動ものです。100年近い風雪に(まあ雪は降らないでしょうけど)耐えて来た橋は、今日も145本もの橋脚で海の中に踏ん張り、こうして現役を貫き通しているのです。
経済発展目覚ましく日々変わり行くインドではありますが、こういう風景はいつまでも残っていて欲しいものだと、心より願う次第なのであります。
[dfads params=’groups=39&limit=1′]