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2010年7月2日:メルマガ版「2010年インドの旅」第4回

         
  • 公開日:2022年8月19日
  • 最終更新日:2022年8月19日

私がウダイプールに着いたのは3月20日(土)のことでしたが、この日はウダイプールの春祭り、その名も「メーワール・フェスティバル」の最終日でした。まったく日頃の行いがいいと本当にこうした幸運に巡り合うものなのですね。

メーワールというのはウダイプールの古い呼び名だそうで、つまりはこの土地の名前を冠したお祭りということになり、おそらく盛大に行われるのでありましょう。

はたしてその日の夕方、昼間の行動で疲れて部屋でうだうだしていた私の耳に、太鼓やラッパの賑やかな音が聞こえて来ました。メーワール祭りのパレードかなにかなのでしょう。

実はこの時の私は「どうせ今から下に降りて行ってもパレードには間に合わないだろう」と思いそのままうだうだしていたのですが、どうも次から次に同じような一団がやって来ているようで、それじゃあせっかくだから見に行ってみるかとカメラをぶら下げて出て行ったのでありました。

通りに出ると、ちょうどまた次の一団が太鼓とラッパの音とともにやって来るところでした。みれば女性たちはみな頭の上に人形を乗せているようです。
そんな一団をやり過ごしその後ろに付いて行きますと、一団は湖のガートに続く門に入って行きました。どうやら湖畔であの人形たちを使って祭りの儀式が行われるようです。さらに想像してみますと、わざわざ湖畔に来たからには、あの人形たちをそこに流すか、または焼いてしまったりするはずです。そしてその光景を見ながら人々は、涙を流しながら祈ったりするのでしょう。おお、信仰の偉大さよ!

湖畔のガートはすでに人でいっぱいでした。そりゃそうでしょう。これからここで壮大なる伝統儀式が執り行われるのですから。
私もいちばん端っこの塀のわきに陣取り、シャッターチャンスを待ちました。

その間にも頭に人形を乗せた一団が次々と入場して来ます。
一団は会場に着くとまず人形を頭から降ろし、ガートの階段に並べて置きます。そしてその人形に祈りを捧げて行くのです。このあと流すか焼くかしてしまうので、人形に最後のお別れをしているのでしょう。
さらに女性たちはその人形の前で輪になり、楽しげに歌いながら踊り出しました。別れゆく人形へのせめてものはなむけといったところでしょうか。

そんな光景をいくつか眺めているうちに、やがて太陽は山のはに沈み、あたりは暗くなり始めました。

さあ舞台は整いました。いよいよこれからこの祭りのメインエベント、人形流し(もしくは人形のお焚き上げ)が始まるぞ! と、期待して待っていたのですが、待てど暮らせどそれが始まる気配は一向になく、そればかりかそれぞれのグループは、再び人形を頭に乗せるとまた元来た道を帰って行くではありませんか。

むむむ・・・まあそういうこともあるだろうな。おそらくそういう祭りなんだよな、これは。
でも私だけでなく、周りの観光客たちはみんな、絶対にこの後何かすごいことが始まるんだろうなと思っていたに違いないのです。会場の雰囲気からしてそんな感じでしたもん。

とは言え実際に祭りを行っている地元の人たち、ひいてはメーワール・フェスティバル人形保存会婦人部の人たちが、人形は流したり燃やしたりしないで大切に保管よ、と言っているので仕方ないのです。

ということで、私もいくつかのグループが立ち去るのを追うようにして会場から出ました。

来る時には祭りの一団を追うのに夢中で気づかなかったのですが、会場の外にはたくさんの物売りがいました。
そんな中で一番目立っていたのは風船売りでした。
ただ風船と言っても日本のお祭りで売っているような空に浮かぶゴム風船ではなく、空気を入れただけのビニール風船に棒を付けたもので、ピンクのうさぎの形のものやドラ○モンのお腹にミッ○ー・マウスが印刷された超レアな夢のコラボ商品といったものなどが主流なのです。
で、子どもはやっぱりそういうのが欲しいわけですよ。そして実際、その風船を持ってる子もちらほらいるわけです。
私の前を歩いていた男の子もそんなひとりで、小さな手で握りしめた棒の先にはピンクのウサギさんが揺れていました。

あー、この子風船買ってもらえたんだ。よかったなあ。

と、ほのぼのとした気持ちで前を行く母子を見ていたのですが、人ごみに押されてどこかに擦ったのか、それとも何か鋭利なものに当たったのか、いかにも薄そうなビニール製のその風船は、見る見る間にしぼんで行くではありませんか。

あっ・・・これはいけないぞ。楽しい祭りの夜に涙の雨が降るぞ。

と思ったら、風船がしぼんでいるのに子どもが気付き、そしてすぐに母親も気付いたようです。
するとすかさず母親は、男の子を大きな声で叱りつけました。しかもつないだ手を上下に激しく揺さぶりながらです。おー、こわ。

まあこういう風景はインドばかりでなく日本でもたまに見かけます。
でも子どもは風船が割れたことだけで充分悲しいのです。なのにそれに追い打ちをかけるように大衆の面前で叱りつけたり、あまつさえ、つないだ手を激しく揺さぶって直接的に怒りを伝えたりするなんて、あんまりと言えばあんまりじゃあありませんか、おかーさん。

でも、かと言って、ぼうやもう泣くんじゃないよ、おじさんが新しい風船を買ってあげるからね、というのも教育上よくないのです。

じゃあどうすればいいのかと言いますと、やはりここは風船が割れてしまったという事実を正面から受け止め、なぜ割れてしまったのかという原因を究明するのがいいのです。そしてその風船を割った要因のひとつひとつを丹念に改善することで、今後二度と風船を割ることのないように努めるのが、風船を失ってしまったこの子に残された唯一の道と言えるでしょう。

さあぼうや、いつまでも泣いてないで、しっかり勉強して割れない風船を発明するのだぞ。

なんだかインドレポートとはぜんぜん関係ない方向に行きつつ、今回はこれにておしまいなのであります。

つづく

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