この写真は椰子の木の先っぽです。
幹がぐぅーんと延びて行った先の、葉っぱがにょきにょき出ている辺りです。そんな椰子の木の先っぽには、椰子の実がついていたりなんかするものですが、この椰子の木には実ではなく、なにやら茶色い丸いものがくっついています。いったいこれはなんなのでしょうか?
実はこれ、椰子の木の樹液を取るためのカメなのです。
椰子の葉っぱの根元を切ってカメに挿し、そこからたらりたらりと滴る樹液を集めるわけです。そしてその樹液を使って、椰子酒を作るのです。
私は椰子酒というものは、てっきり椰子の実から作るものだとばかり思っておりましたが、樹液から作るとはねえ・・・なるほど、カメを仕掛けた者が受益者となるわけですね。
さて、そんな椰子酒を、コーチン(コチ)で乗った小舟で立ち寄った、椰子の茂る小島の民家で頂きました。
まあ頂いたと言っても実際はお金を払って飲んだわけで、おそらくそこのおやじが作ったものなのでしょう、使い古しのウイスキーの小瓶(350mlくらいです)に入ったものが40ルピーでした。日本円で100円ちょっとですから、それほど高くはないですが、きたないビンに入った得体の知れない液体に、果たしてそれほどの値打ちがあるものか最初は判断に迷いました。試しに蓋を開けて匂いを嗅いでみたら、すっぱい匂いがして益々不安になりました。
で、迷った挙句、結局飲んだわけですよ。
味の方はと申しますと、少し酸味があり、炭酸(?)がぴりぴりと舌を軽く刺激し、さっぱりした感じでなかなかおいしかったです。これがもっときれいな入れ物に入っていて、冷蔵庫で冷やしてあったらさらにおいしく飲めたとは思います。そこんところがちょっと残念ではありました。
再び小舟に乗り込むと、椰子酒の酔いが優しく私の体を包み込み始めました。
そしてそこに小舟の揺れが加わり、やがて私は眠りに落ち・・・
いやいやいや!
船賃がかかっているのです。
そう簡単に寝てしまうわけにはいかないのです。
穴の開くほど景色を見つめまくらねばならないのです。
しかしどこまでも続く椰子のジャングルと南インドの青い空は、睡魔の方に加勢するのでありました。
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