ムンバイのヴィクトリアガーデン前からバスに乗った時のことでした。バスはそれほど込み合っておらず、しばらくすると運転席のすぐ後ろの席に座ることができました。
しかしせっかく運転席のすぐ後ろに座れたというのに、運転手の大きな背中がじゃまで前方の景色がよく見えないのです。そこで前方の景色はあきらめ、しばらくぼんやりしておりましたら、時折「ぐうー、ぐうー」というにぶい音が聞こえて来るのに気づきました。
なんだろう?と思ってそこで初めて運転手の動作を観察してみましたら・・・
なぁ~るほど、音の正体は警笛代わりのゴム球ラッパだったようです。ただこのラッパ、当然のことながら空気を送り込むゴム球は運転手のすぐ横にあるものの、音を吐き出すラッパの口は床を突き抜けたずっと下の方にあるらしく、よくある「ぱほぉ!ぱほぉ!」という甲高い音では鳴らず、低くくぐもった「ぐうー、ぐうー」という音になってしまうのです。
それでもまだちゃんと音が出ればいい方で、たまにうまくゴム球が握れなかった時など、うわずったようなかすれ声がむなしく流れ、それは大きなバスの図体とあいまって、まるで瀕死の象があえいでいるようでちょっと悲しいのです。
しかし運転手はハンドル操作とギアチェンジに加え、このゴム球ラッパも鳴らさなければならないので、まるでドラマーのような忙しさなのでそれも仕方がないのです。
ムンバイの市バス運営当局には、このままでは運転手の過酷労働から安全運行に支障が出る可能性が大であると、警鐘を鳴らす次第なのであります。
ぐうー、ぐうー
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