デリーにあるガンディー博物館(Gandhi Memorial Museum)には、彼に関するたくさんの資料や写真、そして遺品が展示されています。しかしこの博物館を訪れる人の数は、すぐ近くにあるラージ・ガート(ガンディーを荼毘に付した場所)の賑わいからすると意外なほど少なく、いつもひっそりとした印象を受けます。
そんな全体的に閑散とした館内の一角に、ひときわ静謐な雰囲気に包まれた場所があります。
それは、ガンディーが最期のその時にまとっていた質素な衣服と、それを撃ち抜いた弾丸が展示されている場所です。マハトマ(偉大なる魂)の尊称を持つモハンダス・カラムチャンド・ガンディーは、1948年1月30日、夕べの祈りに向かう途中で凶弾に倒れました。
ここに展示されている衣服にはその時の血痕が残され、遺品となった懐中時計はその時を示して止まっています。そしてそれは、ガンディーの進めてきた運動の終焉であるかのようにも思えるのであります。あれから61年の歳月が流れ、いまだにテロと報復の応酬は止むことを知りませんが、いつかまたこの時計が動き出す日が来ることを信じたいと、ガンディーの命日にあたりそんなことを思う次第であります。
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