browser icon
You are using an insecure version of your web browser. Please update your browser!
Using an outdated browser makes your computer unsafe. For a safer, faster, more enjoyable user experience, please update your browser today or try a newer browser.

2005年1月28日:パインズクラブ通信 第122号

         
  • 公開日:2022年8月10日
  • 最終更新日:2022年8月20日

暦の上では・・・

あ~あ、1月が終わっちゃうよ・・・

今年の目標・・・・ちゃんとやってますか?


と言うわけで、もうすぐ2月です。
そして2月3日といえば節分です。
各地の神社仏閣などでは節分祭などが行われ、お相撲さんが豆をまいたりします。

でも今年の2月3日には、もうひとつお祭りがあるのです。

それは「初午(はつうま)祭」です。

初午は二月の最初の午の日で、京都の伏見稲荷が発祥らしいのですが、私の街の稲荷神社でも昔から盛大にお祭りがとり行われております。もともとは五穀豊穣を祈ったのですが、今では商売繁盛を祈るというのが主流になっているようです。

その神社は私の通った小学校のすぐ近くにあるのですが、初午の日は午後から学校が休みになるくらいにぎわいました。まあ最近はそれほど人出もなく、学校も半日になったりしないようですが、とにかく昔は盛大でした。
今年はちょっと仕事を抜け出して、久しぶりに初午へ出かけてみましょうかねえ。(うん、なんだか普通のメルマガの挨拶っぽいぞ、ほほ!)


さて、話はここでぜんぜん関係ない方向に進みます。ゴミ捨ての話です。

私の住む街では、ゴミの分別区分に「プラスチックゴミ」というのがあります。これはプラスチック容器やビニール類、発泡トレイにペットボトルというような、人類が作り出したラララ化学の子たち用の区分なのであります。

そんなラララ化学の子のプラゴミは、これまたラララ化学の子の仲間となるスーパーのレジ袋に入れ、ラララ化学の子の回収日を待つのです。

で、このプラゴミなんですけど、重量は軽いくせにやたらボリュームがあるんですね。まあレジ袋に突っ込んでぐいぐい押せば少しは縮まるのですが、あまり強く押し込みますとレジ袋が裂けてしまい、そうなるとレジ袋自体がただのプラゴミになってしまうわけであります。ですからあまり無理をしない程度に押し込んで、レジ袋の取っ手を素早く結んでしまうのですが、袋の口を結ばれた後のプラゴミは、持ち前の復元力で膨張し、袋をボールのようにパンパンにしてしまうのです。

そんな風にして出来上がったプラゴミのボールは、徐々に仲間を増やしつつ、静かに別れの朝を待つわけなのですが、実はその別れの朝は月に2回しか訪れないのです。

そして迎えた別れの朝、私はプラゴミが溜めてある物置の戸を開けました。

「うわ! すごい量だね・・・これは」

見ればプラゴミボールはその数ざっと10個を数え、出陣の合図をいまや遅しと待ち構えております。

まあ重量に関しましては、10個合わせてもたいしたことはないんでございますが、そのボリュームたるや相当なものがございます。ウソだと思ったら、一番大きなスーパーのレジ袋を10個ふくらませてみて下さい。そこのジャスコのやつでいいですから。

ねっ、すごいでしょ。

さて、燃えるゴミなんかですと回収日も週に2回あるということもあり、たいていは大きなゴミ袋がひとつだけで済んでしまいます。多少重くても、その袋の口の結んだところへ人差し指と中指、そして薬指の3本を差し込めば運べます。つまりレレレのおじさんみたいな手で運べるわけで、親指と小指は出番がないのです。そういった意味では、プラゴミのラララ化学の子に対して、レレレ物理の子と呼んでも差し支えなかろーかと思いますし、呼ばなくても差し支えないです。

話はあっちこっちに飛んでおりますが、とにかくプラゴミはレレレのおじさんの手では持てないのです。指は全員参加です。

まずは小指にプラゴミボールを引っ掛けます。そして薬指にかけます。で、中指、親指といって、最後に屈強な人差し指が残り全部を受け持ちます。

そんな風に10個以上のプラゴミボールをぶら下げると、それはそれは異様な姿になりますね。まるで腕の先に巨大な「グー」がくっついているみたいです。

さて、とにかくそいつを直線距離なら100mくらいの、道を渡った先にあるゴミの収集場所まで運ばなければならないのですが、手が巨大なものですから、ふつーに腕を振って歩けないわけです。振るとグーが足に当たって歩きづらいんです。よく後ろめたいことをしていると「あっしは、大手を振って歩けるような男じゃござんせん」とかゆーじゃないですか、健さんとかが。でも私は後ろめたいことなんてしてないのに、大手を振って歩けないんです。なんだか納得いきません。

でも考えてみれば、各自がゴミの減量化を真剣に考えなければならない時代に、両手が巨大なグーになるほどのゴミを出すというのは、後ろめたいことなのかもしれませんねえ。

なるべく自然に優しくしたいと思います。

 

*このメルマガの後半へ続く

〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。

*このメルマガの前半からの続きです。

 

自然に優しいと言えば、自転車はいいですね。

燃料は使いませんし、運動になりますし、歩くより早いですしね。

今は寒い季節なので自転車はちょっときついですが、春風または初夏の風などを全身に受けながら颯爽と走るのは気持ちのいいものです。

しかし自転車の車輪というのは、基本的に昔からあまり変わりませんね。確かにマウンテンバイクやマニア向けのものなどには、昔の自転車とはちょっと違う車輪もあります。でもまだまだ一般的な自転車は昔のままの車輪です。もしかしたら、昔のままだから「ままチャリ」ってゆーのかもしれません。

さて、その昔ながらの車輪というのは、スポークと呼ばれる細い針金みたいなものが、一斉に中央に向かって延びています。それはなんだか真ん中にいる悪者に集中砲火を浴びせている騎兵隊みたいです。

では、その騎兵隊に集中砲火を浴びせられている「悪者」とはいったい誰なのかといいますと、あれは「ハブ」と呼ばれるものなのです。

ハブはたくさんのスポークたちを一手に束ね、車輪を支えているのです。
そうです、それは先ほどのプラゴミボールを持つ私の手と同じなのです。
あの時の私の手は、ラララ化学の子たちを中央で束ねるハブだったんです。
お茶ノ水博士だったんです。敷島博士だったんです。ギルモア博士だったんです。
それから、えーと、えーと・・・

「ハブ空港」という言葉をご存知でしょうか?

ハブ空港とは各地からのフライトが集中して来る、いわば「中央の空港」的存在で、その語源はこの自転車のハブなのです。決してアンコ椿の港ではありませんし、将棋の名人でもないのです。

こうして駄洒落でつないでいきますと、次に出てくるのは毒蛇のハブですね。もしかしたら「ハブ」と聞いて一番に思い出すのはこのヘビのことかもしれません。

しかし実際には、沖縄や奄美大島などのハブの生息地以外の地域では、あまり馴染みはないでしょう。

ところが私が小学生の時、そんなハブが小学校の校庭にやって来たのです。

なんだ!その話に持っていくために、わざわざこんな遠回りをしたのか!

と、お怒りの方、私が話しているのでちょっと静かにしていて下さい。


それは、ある年の「初午祭」の日でした。

その日小学校の近くの稲荷神社は初午祭で大いににぎわっており、神社へ続く狭い道の両側にはたくさんの屋台が出ておりました。大勢の参拝客が押し合いへし合いしながら、それでも楽しそうに屋台を冷やかしながら行き来しています。
私はそんな雑踏を避け、隣接する小学校の校庭へと抜けました。

するとそこに、ちょっとした人垣ができているではありませんか。

なんだろう?と思いながら近づいてみますと、人垣の中央に男が一人いて、先ほどからなにやら説明をしているようです。

「さあ、いいかい。この袋の中には、あの猛毒のハブが入っている。しかもただのハブじゃあない。なんと頭がふたつあるハブだ!それを今からお見せしよう」

そう言うと男は、地面に置いた汚い布袋の口を解こうとしてしゃがみ込み、周りを取り囲んでいた人たちは、一斉にその男の間近へと押し寄せたのです。

「あーあー、ダメダメ! そんなに押したら危ないじゃないか! 周りでそんなに騒がれると、ハブも興奮しちゃうからさ。 はい、ちょっと下がって、もう少し。 はいはい、この線までね、この線」

と、棒で地べたに線を引きながら男は見物人を下がらせ、また元のような人垣を形成していきました。

「今日はこれで3回目なんで、ハブもかなり参ってるみたいなんだよね。

じゃあ、とりあえずハブはまた後で見せることにして少し休ませといて・・・

その代わりに、これをお見せしよう」

と言って男は別の布袋から大きなアオダイショウを取り出しました。

ところがそのアオダイショウもかなり参っているようで、男が頭を持ってぶら下げても、特に抵抗するわけでもなく、ただぶらーんと垂れ下がっていて、ちょっと迫力に欠けます。少なくとも頭の二つあるハブの代わりというには、もの足りない感じです。

しかしそんな状態でもヘビはヘビです。
男がそれを見物人の鼻先の高さにかかげ、ぐるりと一周見せて回ると、そこここから子どもの喚声やら、大人たちの「おっ」という低い声が上がりました。

男は見物人の視線を充分にひきつけると、やおら自分の腕をアオダイショウの口に近づけ噛み付かせました。

そして男は、自らの腕に噛み付いたアオダイショウを指し示しながら、こう言いました。

「はい、よく見てちょうだいよ。こうしてヘビに噛まれてしまったときに、どうしたらいいのか?と言いますと、こうしてタバコを吸いまして・・・・んぱんぱんぱ・・・・ぱっ!と煙をヘビの顔に吹きかけます。と、ほお~ら、この通り、ヘビは噛むのをやめて離れます。そうです、ヘビは煙が嫌いなんです。 では! お尻に噛み付かれてしまったときはどーするか? お尻に煙を吹きかけるのはちょっとできません。体がそんなに曲がりません。 じゃあどうする? はい、そういうときには、おならをするといいのです!」

そんな男の講釈に、周りの見物人は感心したり笑ったり、もうこの時点で男の作り出す不思議な世界へ入り込んでいました。

男はヘビに噛まれたところになにやら薬をつけ、

「このくらいの傷なら、この薬をつけとけば大丈夫」

と言い、そして今度は出刃包丁を取り出すと、自分の腕をスッと切って見せたではありませんか。

「はい、こういう切り傷は、血がボタボタ出てなかなか止まりません」

見れば男の腕には5cmほどの傷ができ、そこからたくさん血が出ていました。

「でも心配はいりません。この薬をちょちょいと塗ると・・・・

ほ~らね、もう血が止まった」

確かに男が薬を塗ると、先ほどまで湧き出ていた血が凝固して止まったように見えました。

次に男は、腕の違う部分にそのクリーム状の薬を塗り、

「こうしてこの薬を塗りますと・・・えい! あ~ら不思議、針を刺しても痛くないんです」

男の腕には細い縫い針が垂直に刺さっていました。

さらに男は見物人の中から一人の少年を引っ張り出し、その子のつむじの辺りに薬を塗り、なんとそこに縫い針を刺してしまいました。

「どうだ?痛いか?」

「ううん、ぜんぜん痛くない」

そんな会話が男と少年の間で交わされました。
少年の頭にはまだ針が刺さったままで、ちょっと間抜けな感じがしましたが、でも本当に不思議だなあと思うとともに、その薬がとても欲しくなって来ました。そしてその気持ちは、私だけでなく周りの人たちも同様のようでした。

続いて男は別の少年を見物人の輪の中から引っ張り出すと、その少年の顔のホクロを指し示して言いました。

「はい、この子のほっぺたにあるこのホクロ。こいつを今から取って見せましょう」

と言うと、また先ほどと同じ薬をホクロの上に塗り、指でつまむように揉みほぐし始めました。もみもみもみもみ・・・
そうしてしばらく揉んだ後、手を止めて「患部」を見物人に見せます。

「ほら、ホクロが浮いてきたのが分かりますか?」

おー! たしかにそのホクロは先ほどよりも黒々としており、皮膚の下にあった時とはまったく違う鮮明さではありませんか! 本当に浮いて来たのだ!

男は手術の経過を報告すると、またオペに戻りました。もみもみもみもみ・・・

そしてついに男は難手術を成功させ、指先に着いた小さな黒い物体を誇らしげに掲げて見せたのであります。

その神業とも思える一連の技を、見物人はみな一様に驚愕し、また羨望のまなざしで見守っていたのですが、突然その男がこんなことを言い出したのです。

「はい、実はこの薬は来月から全国の薬局で発売されることになりました。 そして今日はその宣伝のために、こうしてみなさんにいろいろな効能をお見せしていたわけなのです」

あー、そうだったのかあ・・・来月になればあんなすごい薬が買えるようになるのかあ・・・

「そして本日はみなさまに、全国発売に先行して、この場でいち早くこの薬をお譲りしようと思ったのですが、今日は宣伝に来たのであって商売ではないのです。

そこで! 本日はこの薬を試供品としてタダでお配りします!」

おー! なんていい人なんだ! あんな奇跡の薬をタダでくれるなんて!

これはもらうしかないでしょう。こんなすばらしいことが、生まれてこの方あったでしょうか?

おじさん!ちょーだい!ちょーだい!

っと私が言うより早く、大人を交えた見物人がどっとおじさんに押し寄せました。

おじさんは必死の形相で押し寄せる見物人を押し留めながら言いました。

「あー!ちょっと待ったあ!ちょっと待ったあ!

こんなに欲しい人がたくさんいるのか・・・

じゃあ・・・今日はタダで配るのはやめます。

でも、それじゃあ悪いので、特別に格安でお譲りすることにしましょう!」

そう言うとおじさんは、その薬をひとつ200円で売り始めました。

私も欲しくて欲しくてたまりませんでしたので、ポケットをまさぐって所持金を確認したのですが、惜しくも30円しか持っておらず、後ろ髪を引かれる思いで家路に着いたのです。

その日の夕飯の時、その出来事を父親にかなり興奮気味に話したのですが、父親は鼻で笑うようにまったく信じてくれません。

ヘビに噛まれた傷や包丁で切った傷に塗った薬が、針の痛みも消し、そしてホクロまでも取り去ってしまうという、この目で見た事実をまったく信じてくれないのです。私は悔しくて泣きそうになりながら抗議しました。

「本当に来月全国発売するんだってさあ!」

「ふ~ん・・・・あのな、そういう商売は昔っからあるんだよ。

だいたいさっきお前が話してた、頭の二つあるっていうハブ、本当に見たか?」

あっ! そーいえば・・・見なかったな・・・

ってゆーか、そんなことすっかり忘れてたよ・・・

そうです、そもそも私は頭の二つあるハブというものをひと目見たくて、あの輪に加わっていたのです。なにも薬を買うためではなかったのです。

それをあのおじさんの神業的講釈で、すっかりその気にさせられていたのです。

う~ん・・・するとあれは全部ウソだったのかあ・・・

後で見せるからなんて言ってたくせにさ・・・

ものがものだけに、まんまとまかれてハブかれちゃったってことか。

みなさんも、一見商売に関係なさそうで、実は何かを売りつけようとしている、そんな危険な講釈や、異常に長いメルマガなどには充分お気をつけ下さい。

あっ、そうそう、来月から売り出す商品をお配りしなきゃね。

あー! ダメだよ、そんなに押しちゃあ・・・

って・・・誰も来ないじゃん。

やっぱサクラ仕込まなきゃダメかねえ・・・


それでは、また来週!

次のページへ行く

目次へ行く目次へ行く

ページのトップへ戻る