暦の上では・・・
このメルマガでも「暦の上では~」で始まる季節の挨拶で、とりあえず読み始めをごまか・・・スムーズに持って行こうとしているのですが、テレビなどでも「暦の上では~」は重宝に使われています。
先日の9月1日、いつもの様にヒゲを剃りながらNHK朝5時のニュースを見ていますと、キャスターを務める女性アナウンサーが番組の冒頭でこんなことを言っておりました。
「いよいよ今日から9月です。カレンダー上では秋です。」
言いたいことは分かります。意味も伝わっています。でも・・・
でも、ちょっと違やしないでしょうか?NHKの人。
まず、「暦」を「カレンダー」と英語で言っています。きどっちゃってます。
それから「上」を「うえ」と言わずに、「じょう」と言い放っております。
この際「暦の上では秋」という言い方は「立秋」を過ぎた時に使うのでは?などという小さいことは気にしません。
問題は「カレンダー上」発言なのです。
何ですか?「カレンダー・ジョウ」って?
それじゃあ、まるで外国人の名前みたいじゃないですか。
「うーん、この残虐な手口は・・・やつの仕業に違いない・・・」
「えっ! ま、まさか・・・『やつ』と言うのは・・・」
「まず間違いないだろう。カレンダー・ジョーが帰って来たんだ!」
ね、すっごく悪いやつみたいじゃないですか、カレンダー・ジョーって。
私も本当はこんな細かいことは言いたくはないのですが、なにしろ相手がNHKのアナウンサーなのです。これがフジテレビのアナウンサーだったら誰も文句は言わないはずです。むしろ秋の「珍場面集」のネタになったと局を挙げて大喜びするかもしれません。
しかし、ことNHKに関してはそれは許されないのです。
なにしろ「珍場面集」の番組などやらない局ですから。
とにかくNHKと言ったら「言葉の番人」として、崩れ行く日本語を正しい道に導くことが大事な仕事のひとつのはずです。
それを「暦」を「カレンダー」なんて気取った言い方をしてからにい・・・
そんな英語を使ったら、テレビの前のおじいちゃんおばあちゃんが理解できないじゃないですか。「暦」と言いなさい、「こよみ」と。
それでなくても英語が氾濫していて、私が知らない単語を若者が平気で使っていたりして、結構悔しい思いをしているのです。
それがたとえばどんな単語だったかと言いますと・・・・う~ん・・・説明しようとしても、思い出せないくらい難しい単語を使っているのです。
言葉が解らない不安というのは相当なものです。
外国などに行って回りを外人・・・(あっ、この場合はこちらが外人なので、内人・・・とでも言うのでしょうか?)まあ、とにかく周りをその国の人たちに囲まれて、現地の言葉でわーわー言われると、何を言われているのか解らない不安感からパニックになってしまいます。
外国ではそんな状態になっても当然かもしれませんが、日本にいるのに外国人に話し掛けられてどぎまぎしてしまうのはなんだか納得がいきません。絶対有利なホームゲームを落としてしまったような心境です。
「先日新宿駅南口でタワーレコードの場所を聞いてきた外人よ!すぐ目の前にあんなでっかい英語の看板があるんだから、私に聞くのはやめておくれ」
とにかく最近は街に外国人があふれています。お店のある新宿などはものすごい数です。
別にそれが悪いと言うわけではありませんが、外国人のからんだ犯罪が増えているのも事実です。
先日、大量の偽造ビール券が応酬され、犯人グループが捕まったというニュースを見ました。
偽造ビール券は中国で印刷され、中国人グループが日本で使おうとしていたとのことでした。
その偽造ビール券の映像をテレビで見たのですが、それはすごい量でした。
中国人てよっぽどビール好きなんですね。私はあんなに飲めません。
それにもうビールをたくさん飲む季節ではないのです。
カレンダー上では秋ですから・・・
*このメルマガの後半へ続く
〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。
*このメルマガの前半からの続きです。
そうなのです、もう秋なのです。
街行く若者の日に焼けた肌も、秋風に吹かれると「夏のわすれもの」みたいな風情をかもし出していますし、気の早いコンビニなどには、早くも「おでん」の看板が掲げられていたりします。
でも、あえてここで秋の話題には持って行かずに、夏の話題で引っ張ろうと思います。だって私、先週遅い夏休みを取って、今まさに背中の皮がぼろぼろむけてきているところなんです。もうちょっと夏の余韻を楽しませて下さい。
いくら冷夏と言っても夏は夏、やはり頭上に輝く太陽にはものすごいパワーがありました。晴れた日に海やプールで一日遊ぶと、もう真っ黒に日焼けします。
最近は紫外線が人体に与える悪影響が知れ渡り、すっかり日焼けが悪いことみたいになってしまいましたが、私が中学生くらいの時は「日焼け=たくましさ」みたいなイメージがありました。
「日に焼けた顔に白い歯」は、女子にもてるためには必要なものだったのです。(少なくとも私はそう思っていました)
あれは中学2年の夏でした。
夏休み中の全校登校日を間近に控えたある日、うちの家族は海水浴に出かけることになりました。
海に行くと知ったとき、私は内心「しめた!」と思いました。それは「海で遊べる」という喜びよりも、「日焼けすることができる」と思ったからです。
これが運動部にでも入って活発に屋外で練習に励んでいるような「本当の」スポーツマンなら日焼けくらいで喜んだりしないのでしょうが、どっこい私は帰宅部だったのです。しかも夏休みで学校に登校をしないために、「帰宅」すらできないという、完全失業者的存在で、毎日家でぶらぶらしていたのです。
そこに「海水浴」の報が入ったのです!地獄に仏です!
私は間近に迫った全校登校日に褐色の健康的な肌でさっそうと教室に現れ、クラスの友達に、なるべくなら女子に、できることなら密かに思いを寄せている隣の席のあの子に、「見られたい!」という欲望で頭がいっぱいになりました。
きっとあの子は言うでしょう。
「まあ!すてきだわ!私、健康的な人って、ダ・イ・ス・キ!」
おー、憧れのあの子から一個飛ばしの「ダ・イ・ス・キ」なんて言われてしまったらどうしよう。何て返事をすればいいのだろう。そうか、せっかく健康的な男になれたのだから、ついでに無口でニヒルな男にもなってしまおう・・・なにしろ今までのイメージは「軽率なおしゃべり男」と言った感じだったからな。ここはイメージチェンジだ。イメチェン、イメチェン!
海水浴の日は首尾よく快晴になりました。太陽も私の「イメチェン計画」に手を貸してくれるようです。
私は特に顔を集中的に焼きました。なにしろ他の部分はだいたい服で隠れてしまうので、やはり顔がちゃんと日に焼けていないと意味がないのです。
泳いでいるときも、浜で休んでいるときも、常に太陽の位置を確認し、顔を太陽に向けるように努力していました。それはまるでヒマワリのようでした。
「だれのぉ~ためにぃ~咲いたのぉ~、それはぁ~あの子のためよぉ~」
と歌いながら海辺の一日は過ぎて行きました。
「かあちゃん、おれ、お天道様にちゃ~んと顔向けできるように、一生懸命がんばってんだぞ!」
ってな具合で、顔もい~い色に焼けました。
いよいよ全校登校日の朝を向かえました。
普通なら面倒くさくて行きたくない全校登校日なのですが、今日は違います。なにしろ「ダ・イ・ス・キ」が待っているのです、「ダ・イ・ス・キ」が。
さて、あの子の「ダ・イ・ス・キ」に応えるすてきな笑顔の研究でもしようかと、洗面台の鏡を覗いて見ました。
するとどうでしょう、鏡の中の私の鼻になにやらひらひらするものが付いているではありませんか。
何だろうと思ってさらに鏡に近づいて見ると・・・
何と!皮がむけ始めている・・・
私の右の小鼻の皮がむけ始め、ひらひらしていたのです。当然その下の皮膚は褐色ではなく、ほとんど元の色に近い色です。他の焼けた皮膚と比べたら、「白」と言ってもいいくらいです。
私は愕然としました。なにしろあれだけ苦労をして今日の日を迎えたのです。「ひまわり娘」を歌いながら自分を励まし、一生懸命に焼いたのです。
そういえば昨日あたりからやけに顔の皮がつっぱるような気がしてたのです。
もう一度鏡に向かっておでこを見ると、なんだかてかてか光っています。
おでこに思いっきりシワを作ってみると、あららぁ~、その辺もいまにも破けて来そうじゃありませんか。
おそらくお肌が乾燥しているんだわ、やだわ補水しなきゃ、ほすい、ほすい、と顔にばしゃばしゃ水をかけてみました。
ところがつっぱった顔の皮は水をはじいてしまいます。
事ここに至ってはもう仕方がありません。もう「ダ・イ・ス・キ」などという言葉を期待している余裕はないのです。なんとか今日一日が平穏無事に過ぎ、また明日からの夏休み後半に逃げ込むしか手はないでしょう。
まず、つっぱって今にもはがれそうな皮を、これ以上刺激してはいけません。もうさわらないことです。それからおでこにシワなんか寄せてはいけません。シワの山のところからピリピリとはがれる恐れがあるからです。
次にすでにひらひらと半分はがれかかっている小鼻の皮の処置です。急激に日に焼いたからでしょうか、この皮はわりと厚めのようです。大きさも小指の先ほどあります。
ちょっと処置を迷ったのですが、これは取り去るしか方法がないでしょう。なにしろすでに半分方はがれてひらひらしており、このままではあたかも鼻をひくひくさせ、女性の匂いをかいでいるように思われてしまいます。すると隣の席のあの子は、「ダ・イ・ス・キ」どころか「ヘ・ン・タ~イ」と一個飛ばしにさらにぐにゃぐにゃ記号まで付けて罵るかもしれません。それは避けなければならない事態です。
私は小鼻の皮の切除手術を決行しました。
切除と言ってもハサミで切ると、切り口が直線になって不自然です。できるだけ自然な形で取り去りたいものです。
そこで私は皮をそーとはがし始めました。
むけてない部分はかなり頑固に鼻の皮膚に密着しています。でも急がないと登校時間になってしまいます。
少しあせっていた私は一気に皮を引き剥がすことにしました。
「えい!」
ビリ!
「いてっ!」
皮はみごとにはがれました。
本来褐色なすてきな顔の映し出されるはずだった鏡の中には、半分涙目になりながらおでこを異様に光らせた情けない男が映っています。
そしてその中央に位置する鼻には、白く抜け落ちた箇所に加え、うっすらと血のにじんだ赤い箇所が新たに出現し、3色まだら鼻になっていました。
こうして私の「褐色ニヒル化計画」は無残にも崩れ去っていったのでした。
「これじゃお天道様には顔向けできても、あの子にゃ顔向けできまい!」
ふん、夏の恋はいつだって気まぐれさ・・・
さて、来週は秋の話題で行きましょうかね。
それでは、また来週の木曜日にお会いしましょう!